米ニューメキシコ州で撮影中だった米映画「Rust」のセットで俳優アレック・ボールドウィン(63)が小道具の銃を誤射して撮影監督のハリーナ・ハッチンズさんが死亡した事故で、同作の武器担当の責任者だった女性ハンナ・リードさん(24)が、前作の撮影現場でも銃の扱いを巡って米俳優ニコラス・ケイジ(57)を激怒させていたことが明らかになった。

今回の事故でボールドウィンに実弾入りの銃を手渡したのは助監督のホールズ氏で、その際に銃に弾薬は入っていないことを意味する「コールドガン」だと伝えていたことが分かっているが、その銃の管理はリードさんの仕事であり、本来あるはずのない実弾がどのような経緯で現場に持ち込まれたのか警察の捜査が続いている。

オンラインメディアの「The Wrap」によると、「Rust」の直前に武器担当を務めたケイジ主演の映画「The Old Way」の現場でも武器がセットに到着した際に全員にその旨を知らせるなどの基本的な安全ルールを怠り、スタッフやケイジから度々苦言を呈されていたという。

その現場で働いていたあるスタッフによると、リードさんは3日間の間に2度スタッフや出演者の近距離で、周囲への警告なしに銃を撃ち、ケイジが「警告しろ。鼓膜が破れるだろうが」と怒鳴ったことがあったと証言。そのことを受け、リードさんをクビにすべきだと助監督に助言していたことを明かした。

リードさんの父親はハリウッドでは有名なベテラン武器担当者で、過去には俳優ブラッド・ピットを始めそうそうたるスターたちとも仕事をしていることで知られるが、リードさん自身は新人で2カ月前に撮影した「The Old Way」が武器責任者としての初めての仕事だったという。

24歳という若さの新人女性が武器の責任者を務めることは通常では考えられないことだというが、低予算のためにベテランの武器担当を雇えなかった可能性もある。現場経験の乏しいリードさんは、事故が起きた「Rust」を含め現場での仕事ぶりに対する評価は著しく悪く、銃の安全管理を怠るなど武器担当としての資質を疑う声が多く出ていたことが伝えられている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)