テレビプロデューサーのデーブ・スペクター氏(年齢非公表)が民放各局の衆議院選挙特番を鋭い視点でジャッジした。今回は“一強体制”テレ東の池上彰氏(71)に挑む形となったテレ朝の大越健介氏(60)、TBSの爆笑問題・太田光(56)の“新キャスター”たち。これにフジの宮根誠司(58)、日テレの有働由美子氏(52)も黙っていない。この中でデーブが軍配を上げたのはどの局だ――。

 デーブ氏は開口一番「今回の選挙特番は本当にレベルが高かったと思う。あちこち見なきゃいけないから、体力が持たなかった。リモコンの電池が切れちゃった」とお得意のジョークを交えて切り出した。

 初めに言及したのは“新人キャスター”爆笑・太田の「選挙の日2021 太田光と問う! 私たちのミライ【爆笑問題太田×与野党有名政治家】」(TBS系)と大越氏の「選挙ステーション2021」(テレビ朝日系)だ。

「太田さん、テンション高かったねー。太田さんのいいところは、かっこつけないところだよね。自分をさらけ出していく。熱意があって本音で直球勝負だった。もともと(日テレで)政治バラエティー番組『太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。』をやってたからね。今回が初めてで慣れてない部分もあったけど、次が楽しみだよね」

 一方、NHK出身の大越氏については「すごく真面目で良かったと思うんだけど…やっぱり地味に映っちゃうよね。それだったら、久米宏さんと古舘伊知郎さんを呼んで、クロストークした方がもっと面白くなったかもね」との評価だ。

 デーブ氏が「僕の想像していたより上を行った。まさにオールスター」と高評価だったのが、宮根の「Live選挙サンデー【宮根加藤がわかりやすく徹底速報! 強者ゲストVS政治家】」(フジテレビ系)だった。

「メンバーが精鋭ぞろいって感じじゃなかった? 宮根さんは声も良くて、仕切りもうまい。反町(理=フジテレビ報道局解説委員長)さんはBSで毎日2時間、報道番組やってるでしょ。橋下徹さんも政治に精通している。カトパン(加藤綾子アナ)もいい。古市(憲寿)さんもれいわの山本(太郎)さんがワクチン打ってないことを引き出したのはスクープじゃない? 余談だけど、古市さんの飼ってる猫かわいいんだよ」と褒めた。

 ただそれでも、「池上彰の総選挙ライブ 家族で楽しむ選挙特番!」(テレビ東京系)の池上氏には「トップだね。まるで(スター・ウォーズの)ヨーダみたいな存在だよ」と言う。

「例えば、各局がタブーに切り込む企画を用意していたけど、それも池上さんのフォロワーだし、テロップで小ネタを出すのもそうじゃない? 池上さんは一切の忖度がない。表情に疑問をはっきり出す。やっぱり見ちゃうよね。池上さんの政治取材バス旅もキラーコンテンツとして育った」とデーブ氏。

 テレ東の唯一の弱点は「セットのしょぼさ」だという。
「その辺に転がっていたセットを集めたという感じ。コンセプトがない。むしろ、あえてコンセプトがないのをコンセプトにしているのであれば、前衛芸術ですよ。現代美術、MoMA(ニューヨーク近代美術館)に飾られるよ」とシニカルジョークだ。

 有働氏らがMCの日テレ「zero選挙2021」には「前にも言ったけど、普段のzeroが面白いけど、選挙特番には落とし込めてない。『笑ってはいけない――』を流したらよかった」と厳しかった。

 最後にはタレントのコメンテーターに触れ「アメリカではその発想すらない。もしタレントが出たら『大事な選挙の時にふざけるな!』と暴動が起きると思うよ。日本は平和だなと思う。ただ、タレント自らが割り込んで発言するレベルでもないので、意外と邪魔でもないのかな」とも話した。

 デーブ氏の中では池上氏は“殿堂入りレベル”になりつつあるようだ。

【デーブ採点】
1位テレ東 80点
2位フジ  71点
3位TBS 60点
同率4位 テレ朝、日テレ 50点
採点外 NHK