高卒若虎たちよ、もっと下から主力を突き上げろ――。阪神OBの掛布雅之氏が1日、甲子園球場で行われた「掛布塾CUP」決勝戦終了後に報道陣の取材に応対し、後輩虎戦士たちへ奮起を促した。

 現在は阪神レジェンドテラー(HLT)としてチームを見守るミスタータイガースは、16年連続でリーグ制覇から遠ざかる古巣の〝いびつ〟な構造を指摘。「ヤクルトなら村上、奥川。巨人なら岡本。広島なら鈴木や小園のように、他のチームには高卒入団から数年で頭角を現してチームを引っ張っている選手が多いのに、阪神にはいない。井上(広大)ら高卒の若手が出てきてくれないのが寂しいよね」。

 近本、糸原、大山、佐藤輝、梅野、中野、青柳、高橋、伊藤将、岩崎…。阪神の主力は現在、投打ともに大卒、社会人出身の選手が大半を占める。生え抜きの高卒選手として今季一軍に定着できた選手は秋山ほか数人しかいない。「高卒の若手が下からレギュラークラスを突き上げて刺激してくれるとチームは活性化する。それが本来あるべき姿だと思うんだよね」。掛布氏自身も高卒選手として阪神にドラ6入団し、球史に名を残す強打者へのし上がっただけに寂しさを感じているようだ。

「村上は佐藤輝より若いもんね。でもあんなに堂々として阪神のベンチ前まで行くんだよ。胸を張って。すごい若者だよね」。7月6日のヤクルト戦(神宮)で阪神の〝サイン盗み疑惑〟を巡り両軍が一触即発のムードになった際、単騎で堂々と阪神ベンチへ向かっていった村上の〝男気〟を掛布氏は冗談半分、本気半分で称賛。来季こそ阪神もイキのいい高卒若手の台頭を期待したいところだが…。