来年の北京冬季五輪に米国が政府代表を派遣しないことを明らかにしたジェン・サキ大統領報道官が、「ボイコット」という言葉を避けている。派遣なしを公表した6日の記者会見で、その理由を示唆した。

 対立が深刻化する米中関係において、ついに北京五輪への「外交ボイコット」を決断した米国。サキ氏は「PRC(中華人民共和国)で現在進行している新疆における人々に対するジェノサイドと犯罪、その他の人権侵害に鑑み、バイデン政権はいかなる外交もしくは公式の代表団を北京五輪・パラリンピックに派遣しない」と語った。

 一方で、ホワイトハウスのホームページに掲載された会見録を読むと、一定の抑制感もうかがえる。そもそも「外交ボイコット」はサキ氏が自ら明かしたのではなく、記者の質問に対する答えの中で表明している。しかも「ボイコット」という言葉への違和感も述べている。

 記者に「外交ボイコットは十分な措置か」と聞かれたサキ氏は、「誰もがそれを呼びたいように呼ぶことができる」と前置きした上で「皆さんに確認しておきたいのは、あなた方が使う『外交ボイコット』のフレーズは人々を1980年(モスクワ五輪の米選手団ボイコット)に連れ戻すが、いま我々はそこにはいない。アスリートは参加しようとしている。私たちは母国から応援する」と続けた。

 米国は北京五輪の米選手団をフルサポートし、国内から声援を送ることをサキ氏は強調。「私は五輪に取りつかれた人間だ。私はそれ(北京オリパラ参加の米選手を国内から応援すること)を楽しみにしている」。今回の決定は、北京五輪の太鼓持ちに加担してしまうことを避けるためだという趣旨の説明も述べた。

 外交ボイコットが「十分か」については、「これが新疆における人権侵害に対して我々が提起する関心の終わりを意味しない」として、人権問題を注視し続ける意向も示した。