当事者の思いとは――。ミゼットプロレス(こびとプロレス)の新団体「椿ReINGz(ツバキリングズ)」が7日、都内で設立会見を行い、現役レスラーのミスター・ブッタマン、プリティ太田が新人募集と旗上げ興行(来年5月に予定)に意欲を見せた。

 かつてはお茶の間に愛されてきたミゼットプロレスだが、時代とともに規模が縮小。それでも、火をともし続けるべく、女優で一般社団法人「Get in touch」代表の東ちづるら有志が〝再生〟を目指して精力的にサポートを続けている。

 現在、国内で活動しているレスラーはブッタマンとプリティのみ。2人は東がプロデュースするイベント「月夜のからくりハウス」で、車いすダンサーや全盲の落語家、寝たきり芸人らとともにパフォーマンスを披露するなど、限られた機会で存在感を発揮してきた。

 そうした中、有志らによる「こびとプロレス再生プロジェクト実行委員会」が結成。8月に目標額250万円で実施されたクラウドファンディングは477万8000円が集まり、都内に日本初となるミゼットプロレス専用の道場を開設した。

 この日の会見で進行を務めた東は「こびとという言葉がまだ自粛用語になっている。なぜそうなったかというと『こびとプロレスやこびとタレントさんがバラエティー番組で活躍していたが、障がい者を働かせる、笑いものにするのはいかがなものか』という声があって。結果的には職場を奪うという現実がある」と指摘。これを受けてプリティは「そこを変えていかないといけない」と強調した。

 来年5月には同団体の道場で旗揚げ興行を予定しており、同時に新メンバーも募集する。プリティは「ミゼットプロレスラーを絶賛募集中です。条件は健康でプロレスが好きな人であれば」と呼びかけ、興行に向けては「気合入れていきます。応援してください!」(ブッタマン)「全盛期のプロレスに近づけていきます」(プリティ)と力強く語った。

 会見には〝極悪女王〟ダンプ松本、ザ・グレート・サスケが駆けつけ、ノアの丸藤正道がビデオメッセージを寄せた。すると、「月夜の――」で共演経験もあるダンプからは「まずはブッタマンとプリティが一生懸命面白いことをやらないとダメ。この前初めて試合を見たけど、ぶっ飛ばしたいなと。これでギャラをもらってたのか? これで何が頑張っているのか? お前ら客に金返せ」と愛情たっぷりのゲキが飛ぶひと幕もあった。

 会見後、本紙の取材に応じた東は「プロレスだけでなく、ドラマとか音楽とかバラエティー番組にいろいろな特性のあるプロのパフォーマーがいるので、活躍するチャンスが欲しい」と切り出すと「彼らがテレビに出るチャンスが1年に1回とか、教育福祉番組しかないのはちょっと残念。それは素晴らしいことだけど、学園ドラマにこびとさんがいてもいいし、会社の中に車いすの人がいてもいい。リアルな社会を描けるほうが健全だと思う。決して主役ではなくても欧米や韓流ではできていることなので」と持論を展開した。

 サポートを続けるミゼットプロレスについては「最初、お客さんは『笑っていいの?』と戸惑う。なので、SEで笑い声を入れると、笑っていいんだという雰囲気になって大爆笑になる」と、笑顔で魅力を語る。

 将来的には「ビジネスエンターテインメントとして盛り上がってもらって、社会に還元するというサイクルができれば。2人はバイトをしながらつないできたので、プロレス一本でやっていけるようになれば」と東。夢の実現へようやくスタートラインに立った。