スポーツ専門局ESPNのウェブサイトは10日(日本時間11日)、『バリー・ボンズとロジャー・クレメンスをPED(ステロイドなどのパフォーマンス増強剤)の影響なしで(の成績を)評価する』との特集記事を掲載した。 

 パイレーツとジャイアンツで計22シーズンプレーしたバリー・ボンズ(57)と、レッドソックス、ヤンキースなどで計24シーズン投げたロジャー・クレメンス(59)が、米野球殿堂入りを果たせていないのは、現役時代の薬物使用疑惑が大きく影響し、全米野球記者協会の記者投票で有資格となる75%に達していないからに他ならない。今月末で締め切られる22年度の投票は、両氏とも有資格最後の10年目となるため、彼らが殿堂入りに相応しいか、それともその価値はないのかという議論にまもなく終止符が打たれることになる。

 ESPNは、過去のパフォーマンスと年齢によるパフォーマンスの低下傾向から、選手のパフォーマンスを予測するZiPSプロジェクションシステムの生みの親である野球統計学の権威ダン・シンボルスキー氏に、ボンズはPEDを使用し始めたとされる99年以降、クレメンスは同98年以降の成績を予測するよう依頼した。その結果、ボンズは73本塁打を放った01年は23本塁打で、01年からの4年間では実際に209本塁打を放ったが、予測では66本となった。通算本塁打は歴代1位の762本だが、このシステムを使った予測は551本で、「(通算555本の)マニー・ラミレスよりも少ない」数字となった。

 一方、歴代9位の通算354勝をマークしたクレメンスは3シーズン少ない稼働となり、勝星は298勝と予測。例えばアストロズへ移籍した04年は18勝4敗、防御率2・98、218奪三振をマークして自身7度目のサイ・ヤング賞を受賞しているが、ZiPSの予測は8勝5敗、防御率3・35、105奪三振。通算投球回数も4916に対し、予測は4227となった。

 6日(同7日)には、ジャイアンツのアレックス・ウッド投手(30)が自身のツイッターで「既にHOF(米野球殿堂)入りしている選手の中にもステロイドを使用していた選手がいることは、天才でなくても分っている。バリー・ボンズはHOFに入るべき」などと投稿。両氏を巡る議論はもうしばらく続くことになる。