漫才コンビ、ザ・ぼんちが35年ぶりに東京で単独ライブを行う。来月12日に新宿・ルミネtheよしもとで開催する。空前の漫才ブームの中、80万枚の大ヒットシングル「恋のぼんちシート」を引っ提げて開催した、1981年(昭56)の日本武道館公演以来となる。ぼんちおさむ、里見まさと(ともに63)は「昔からのファンにも、今の若い人にも見てほしい」と話している。

 ザ・ぼんちは、大阪・興国高の同級生だ。72年にデビューし、80年代前半の漫才ブームでブレークした。80年度にはゴールデン・アロー賞で松田聖子、田原俊彦、三原じゅん子らスーパーアイドルを抑えて最優秀新人賞を受賞。「最優秀なんて取れっこないから、授賞式後に高知で営業が入っていた。新人賞発表が終わって帰ろうとしたら『とにかく待ってくれ』の一点張り。2時間後発表の予定が30分後に早まり、まさかの最優秀賞受賞でした」と振り返る。

 ブームが去った86年にコンビを解消した。「燃え尽き症候群とは言いませんが…」。おさむは、役者としてテレビ朝日系ドラマ「はぐれ刑事純情派」に16年間出演。まさとは、故亀山房代さんと漫才コンビ「里見まさと、亀山房代」を組んで一から出直し。98年に上方漫才大賞を受賞したが01年に解散した。

 おさむは「何かチャレンジしたい、芝居をしたいと思っていたら、1年後に偶然、話が来た。でも、子供が2人おったから勇気がいった」と振り返る。まさとも「必死でした。『おさむがおらんと何も出来んまさと』と烙印(らくいん)押されてましたから。頑張るしかなかった」。

 2人は03年に活動再開。声を掛けたまさとは「縁というか、流れになってました」。おさむは「やっぱり、すぐ反応のある舞台に憧れていました」。漫才ブームで売れたコンビで、今も活動しているのは西川のりお・上方よしおだけ。2人は「65歳が定年の時代。だけど、まだまだ、頑張る」と前を向いている。【小谷野俊哉】