採点競技でもトップバッターは不利なのか。19日に行われた漫才日本一を決める「M―1グランプリ2021」は長谷川雅紀(50)と渡辺隆(43)のコンビ「錦鯉」が優勝。長谷川の涙に審査員が〝もらい泣き〟する劇的なフィナーレとなったが、今年も「得点問題」が議論されている。毎年、指摘される「トップバッター不利説」「終盤コンビ有利説」だ。

 過去のM―1のトップバッターは第1回(2002年)の「中川家」こそ優勝しているが、第2回以降は無残な成績。全17回中で最下位が5回もあり、15年以降は7位(メイプル超合金)、5位(アキナ)、ゆにばーす(8位)、見取り図(9位)、ニューヨーク(10位=最下位)、インディアンス(7位)と続き、今年のモグライダーはトップバッター歴代最高点をマークしたが、8位に終わっている。

 この「前低後高」の要因には、審査員がよく口にする「トップバッターなので抑えめにした」という傾向がある。たとえ面白くても、後続コンビの得点の〝余白〟を残すために点数が出しにくいというのだ。それに加えて、会場が温まった後にステージに立つ終盤の得点はややインフレ傾向。こればかりは永遠の課題のようだが、冬季スポーツの「華」と言われるフィギュアスケートの採点と共通するものがあるようだ。

 数々の大会で審査を務めた元審判員は「フィギュアスケートの採点は基本的に絶対評価。でも後ろに有力選手が控えていると、どうしても点数は慎重になってしまう」と実情を打ち明ける。同競技のシングルはジャンプの技術点、出来映え点など明確な基準があるが、演技構成点には「スケート技術」「演技力」といった主観が入りやすい項目もある。前出関係者は「先入観は絶対にダメですが、序盤は様子見で点数を置きにいく人は多いと思います」と話す。

 お笑いの賞レース、スポーツの採点競技では得点のトラブルは付き物。感情のある人間が公平なジャッジをするのは、やはり不可能なのか。