上方お笑い大賞の流れをくむ「第5回ytv漫才新人賞 決定戦」が28日、大阪市中央区の読売テレビで行われ、結成9年目の「コマンダンテ」が賞レースを初めて制して優勝した。

 コントなのにボケない冴えないサラリーマン風の安田邦祐(くにひろ=32)に、「塩顔系」二枚目の石井輝明(31)がいら立ちながらつっこむ。斬新なスタイルが評価され、決定戦に出場した6組から第1ラウンドを1位通過。最終2組によるラスト決戦でも、兄弟コンビ「ミキ」を破り、悲願の頂点に立った。

 審査員席に座った面食いのハイヒール・リンゴからも「シュッとしてる」として、ルックスを高く評価された石井は、優勝が決まり号泣。泣き崩れて言葉がなかなか続かなかった。

 終了後、取材に応じたコンビは、その石井の涙の“ワケ”を明かした。

 「最初はギャグのつもりで『涙が…』と言ってたんですけど、ほんまにとまらなくなった」。石井は照れながら話した。もうすぐ10年目に入るコンビだが、これまで賞レースで結果を残しておらず「瀬戸際にいた」と自覚していた。

 石井は交際3年だった「彼女の母いわく、本田翼似らしい」6歳下の彼女から、生活苦を理由に先日、ふられたばかりだといい、その悔しさも涙の背景にあったと説明した。

 「実は先月の給料が6万円で、彼女から貯金がないと責められ…。最後には『将来、一緒にいることが想像ができない』と言われ、フラれました」

 彼女とは「結婚も考えていた」といい、その悔しさと、男のプライドが胸中を支配したようだった。

 ただし、リンゴも認める「男前」。相方の安田は「すぐ彼女できるんで、大丈夫ですよ」と突き放し、自らにも「交際2年の彼女がいる。僕もお金がないけど、ふられないでよかった」と明かし始めた。

 コンビによると、収入は「だいたい月10万円程度で、6万円だった先月は少なかった」とし、年収にすれば100万円強。ともに、一般人で定職を持つ彼女の方が収入は高く、安定している。

 優勝賞金100万円について、石井は「彼女にふられて、結婚しなくなったんで、使い道がないから親にあげたい」。安田は「タクシーで日本一周したい」と言い、ぜいたくへのあこがれを口にした。

 将来の目標には「NGK(なんばグランド花月)でトリをとること」を掲げた2人。テレビ出演より「漫才師がかっこいいと思う」と言い、漫才を極めたいという。

 「まだ、NGKでも(前座クラスの)5分出番なんで、しっかりネタ時間をもらえるようになりたい。でも、まずは営業をガンガン入れてほしい」と、声をそろえていた。