決戦の地候補に新・国立競技場も…。〝キック界の神童〟那須川天心(23)とK―1のエース・武尊(30)によるキック界の頂上決戦が来年6月に行われることが発表された。

 長年熱望されていた2人の対戦が現実味を帯びたのは昨年大みそかのRIZINさいたま大会だ。武尊が会場に姿を見せて那須川の試合を観戦して試合後には言葉を交わし、報道陣に「今年最後の日ですけど、僕の意思表示です。来年実現させる決意をこめて来場しました」。那須川もこれに応じるように今年3月のK―1日本武道館大会で武尊のレオナ・ペタス戦を見守った。

 これで一度は6月の東京ドーム決戦が決定的となったが、レオナ戦で武尊が右拳をケガしたため実現せず。改めて年末の開催も含め交渉がおこなわれたが、最後にRIZINのリングに上がりたい那須川と、RIZIN以外の中立なリングに上がりたい武尊の思いなど諸条件が合わず交渉は難航。那須川がRISEの来年4月2日の東京・国立代々木競技場第一体育館大会を最後にキックを卒業しボクシング転向が決まっていたため、世紀の一戦は消滅危機になっていた。

 しかし、交渉の間に入っていたRIZINの榊原信行CEOが那須川の転向を2か月遅らせるというコロンブスの卵的〝ウルトラC案〟を提案。その後紆余曲折を経て対戦が決まり、榊原CEOは「すがすがしいです。年越しでも『ノーコメントおじさん』なのかなあ、このネタももう通用しないだろうなと持っていたので。僕は役不足ながらオーガナイズ役をやらせていただいた中で、最終ゴールがあって良かった」と安どの表情だった。

 58キロの契約体重と「ワンキャッチ・ワンアタック」以外のルールはこれから詰めることになり、会場も未定だが榊原CEOは「東京ドームやワンチャン国立競技場とか」とビッグカードにふさわしい大会場を候補にあげる。そして「(国立競技場は)『Dynamite!!』で2002年にやらせてもらったことがあって僕も関わらせてもらいましたけど。今の国立競技場がやらせてくれるか分からないけどね。そういうことが狙えるカード。そういうことも含めて発表できたらいいなと思います」と力をこめた。

 また、会見では武尊が完全決着を希望しつつ「延長無制限ラウンド(R)」を提案したが「無制限ラウンドっていう言葉は怖いんですよ。昔、ホリオン・グレイシーっていう人にダマされて『無制限ラウンドでやるとすぐに試合が終わるんだ』って言われてやって、90分戦わせちゃったことがあるんです」と苦笑い。2000年5月1日のPRIDE・東京ドーム大会での桜庭和志VSホイス・グレイシー戦がグレイシーサイドの要望で1R15分、決着がつくまで無制限にラウンドを重ねるルールで行われたが、結局6R90分も行われることになったのだ(結果はタオル投入で桜庭のTKO勝ち)。これを踏まえ榊原CEOはこう続ける。

「放送局との尺の問題とか配信局のこととか考えると(延長は)あって1Rとか。そこでどう決着をつけるのかというふうにオーガナイズする立場としてはしたい。そこでどうマストで決着をつけるか」

 そのほか、ファイトマネーのオープン化や判定の透明化などを提言した榊原CEO。ここからますます目が離せなくなりそうだ。