幸運を呼ぶ女神が躍動だ。フィギュアスケートNHK杯覇者の坂本花織(21=シスメックス)が、北京五輪代表最終選考会を兼ねる全日本選手権(25日、さいたまスーパーアリーナ)の女子フリーで154・83点をマーク。合計234・06点で3年ぶり2度目の優勝を飾り、前回の平昌大会に続き、2大会連続の五輪出場が確実となった。

〝かおちゃんスマイル〟に会場中が沸いた。突出したジャンプはないものの、抜群の安定感とスピード感あふれる演技が持ち味の坂本は、冒頭のダブルアクセル(2回転半ジャンプ)など、全てのジャンプを着氷。ステップ、スピンも最高難度のレベル4にそろえる会心の演技を見せた。「五輪が決まるこの全日本で優勝できて、一発内定という目標が達成できたので、すごくうれしい気持ちでいっぱい。(得点を見たときは)言葉に表せないけど、うれしすぎて涙が出た」と喜びを爆発させた。

 坂本と言えば笑顔がトレードマーク。フィギュア関係者から「坂本ちゃんの笑顔は本当に素敵。幸せオーラを放ってくれるし、周りを幸せにしてくれますよね」との声が飛び出すほどだ。実際、会見では終盤に「頭が回ってないですね。すいません本当に。申し訳ない」と苦笑い。笑い声が会見場に響き渡ると、その場の雰囲気はパッと明るくなった。

 平昌五輪では6位入賞を果たしたが、メダルには届かなかった。「1回目はどんな試合でもハメを外すことが多いけど、2回目以降はだいたいいい感じでいつもいけている。今回こそは体調も万全な状態でいけるんじゃないかな」とニヤリ。

 ゴルフ界では渋野日向子(サントリー)が全英女子オープンを制覇した際に「スマイリング・シンデレラ」として世界中を熱狂させた。今度は坂本がパーフェクトな演技で難敵のロシア勢を打ち破り、北京で笑顔の花を咲かせる。