【赤坂英一 赤ペン!!】ベイスターズファンがレジェンドたちの復帰に沸いている。1998年の38年ぶりリーグ優勝と日本一戦士の石井琢朗が野手総合コーチ、鈴木尚典が打撃コーチ、斎藤隆がチーフ投手コーチにそれぞれ就任。今年こそは優勝争いに食い込むに違いない、と大いに期待が高まっているのだ。

 新任の3コーチは三浦大輔監督と同じく、横浜大洋ホエールズ時代からの生え抜きだ。中でも、98年にマシンガン打線の1番打者兼内野の要とし大活躍した石井コーチが、DeNA再建のキーマンになりそうである。

 石井コーチにDeNAからコーチ就任の打診があったのは、ヤクルトの打撃コーチを務めていた2年前だった。が、当時は巨人の野手総合コーチ就任が決まっていたために残念ながら実現せず。

今回の石井コーチ誕生は、DeNAにとっては3年越しのラブコールが実り、石井コーチとしても2008年以来13年ぶりの復帰だ。石井コーチは、やはり日本一戦士だった進藤達哉GM、大洋時代の元主砲・田代富雄巡回打撃コーチともじっこんの間柄である。首脳陣の結束力と一丸ムードなら12球団一かもしれない。

 そこで気になるのが、DeNAのケガ人の多さである。肩、ヒジにメスを入れた投手だけで、平良健太朗(トミー・ジョン手術)や今季ドラフト1位・入江大生(右ヒジクリーニング手術)ら7人に上った。ほかにも捕手の伊藤光が右肩、嶺井博希らが右ヒジのクリーニング手術を受けており、故障者全員の合計は12人。そのうち8人(投手が4人)が、8~11月の間に集中している。くしくもチームが投壊状態に陥った時期と重なっており、なぜ同じようなケガ人が続出しているのかと聞かれた三浦監督はこう答えていた。

「その理由がわかったらこっちが知りたいです。今いるメンバーで戦っていくしかありません」

 それでなくても、昨季は先発の柱・今永昇太が左肩クリーニング手術で出遅れて5勝どまり。東克樹も昨年2月に受けた右肘トミー・ジョン手術の影響でわずか1勝にとどまった。その上、抑えも三嶋一輝、山崎康晃らが不調で固定できず。10月には2年目の伊勢大夢に2度抑えに抜てきしたら、2度とも失敗している。

 というわけで、DeNAが再浮上するには、一にも二にも投手陣の再建が急務。球団関係者の中にはこういう声もある。「投手陣の建て直しには2年はかかるんじゃないかな。今後はチーム全体でコンディショニングのシステムを改善していくことも必要でしょう」

 ベイスターズファンはレジェンドコーチ陣の手腕に期待しつつも、しばらくは長い目で見守ったほうがよさそうだ。

☆あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。日本文藝家協会会員。最近、Yahoo!ニュース公式コメンテーターに就任。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」「プロ野球二軍監督」(講談社)など著作が電子書籍で発売中。「失われた甲子園」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。他に「すごい!広島カープ」「2番打者論」(PHP研究所)など。