オーストラリアの裁判所は10日、テニス男子で世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(34=セルビア)のビザを取り消した政府の判断を覆す決定をした。しかし政府当局者は、ビザを再び取り消す可能性も示唆。全豪オープン出場はいまだ不透明なうえ、英エリザベス女王に救済を求める声まで飛び出すなど、カオスとなっている。
裁判所の“無罪”判定に、ジョコビッチはツイッターで「こういうことがあっても、私はここに残り、全豪オープンに出場したい」と決意表明。ファンたちも歓喜。メルボルン市内の弁護士事務所前で、ジョコビッチが乗っていると思われる車を取り囲みパニック状態に。警察隊が催涙スプレーをまくなど、一時騒然とした。
一方で、オーストラリアのホーク移民大臣スポークスマンは「ビザの取り消しを検討することは、引き続き大臣の裁量範囲内」と述べ反発。ビザ再剥奪もありうる状況だ。ジョコビッチに対するイメージは同国で良くなく、12月に新型コロナウイルス陽性が発覚直後にセルビア市内で複数のイベントにマスクなしで参加し、子供たちと触れ合っていたことが判明。政府の判断に影響する可能性もある。
最悪のケースを想定したかのような発言を繰り広げたのは、ジョコビッチの父・スルジャン氏だ。英「デーリー・メール」によると、判決直後にセルビア市内で会見。隔離施設から解放後に逮捕されると信じ込み、オーストラリアのモリソン首相を「独裁者」と断罪。「世界中の正義と民主主義を信じる善意の人々、そして英国女王が関与し、ノバク・ジョコビッチに対する拷問から保護するよう呼びかける」と英エリザベス女王にまで救済を求めた。
今後も一波乱ありそうだ。