桐谷健太(41)が13日、川崎市内の川崎CLUB CITTA`で行われた主演映画「ミラクルシティコザ」(平一紘監督、2月4日公開)の試写会&舞台あいさつで「沖縄の日本復帰50年で、こういう沖縄映画を主演でやれるのは当たり前のことじゃない。うれしい」と熱い言葉で主演の喜びを口にした。

「ミラクルシティコザ」は、第3回未完成映画予告編大賞グランプリと堤幸彦賞を受賞した作品をベースに、長編映画の撮影経験がなかった平一紘監督(32)が脚本も執筆。コロナ禍で撮影が3回、延期された困難を乗り越え、地元の沖縄の日本復帰50周年の今年、1月21日から沖縄で先行公開し、桐谷の誕生日の2月4日から全国で順次、公開となる。

桐谷は、沖縄市コザで惰性な日々を過ごす翔太を演じた。翔太はある日、ベトナム戦争に向かう米兵たちを熱狂させた伝説のロックンローラーだった祖父ハルを交通事故で亡くし、失意に沈むが、死んだはずのハルが現れ「やり残したことがある」と体をのっとられる。翔太の魂はタイムスリップして70年のハルの体へ入ってしまい、ロックンローラーだったハルとして、ベトナム戦争特需に沸く70年代の沖縄で驚きの真実を知り、未来へのサプライズを仕掛けようとする物語。

桐谷は、オファーを受けた当時を「旅行に行って海辺を歩いている時、マネジャーから『オール沖縄ロケの映画の話が来て受けようと思うんだけど』と電話が来て。いいわぁ…ピンとくるわと」と振り返った。その上で「脚本を頂き、切り口が斬新で面白い。沖縄の人たちの思いとか、もっと出たら良いなと。監督が『何でも感想を下さい』と言うのでやりとりした」と、平監督と意見交換をしたと明かした。

ただ、平監督の、あまりの情熱にタジタジになったという。「書き直した、何稿も送ってきた。メチャクチャ送ってきますよね…1度、まとまってから送ってくれませんかと。情熱が伝わってきた」と苦笑した。隣で聞いていた同監督は「26稿、書きました。桐谷さん、読んでくれたんだと…うれしかった。1回も劇場映画を撮ったことがない、自分の思いを全力で受け止めて返ってくる、キャッチボールが1回目から出来てうれしかったけれど『1回、まとまってから送ってくれ』と」と、笑いながら当時を振り返った。

桐谷は「(平監督に)クレーム、つけたわけじゃないですよ。(監督と)セッションできた、というのがあった。コロナで3回、撮影が延期になって。僕だけ見るYouTubeを撮影してくれた。(自分だけしか見ないから)再生2回…情熱が伝わった」と平監督の情熱を、あらためてたたえた。その上で「1回、やりましょうとなった話なので何回、延期になっても、やりたいと思いましたね」と熱く語った。その上で「こういう時期なので、なかなか映画館に来にくいという人も、たくさんいると思うんですけど、皆さんの力を貸してくれたらうれしい」とコロナ禍の中、観客に支援を呼びかけた。

この日は映画の音楽面に全面協力した、1970年(昭45)日本復帰前の沖縄で結成された伝説のバンド「紫」も駆けつけた。リーダーでキーボードのジョージ紫は「僕らの音楽を、たくさん使っていただき、映画の製作にも関わらせていただいた。50年、バンドをやってきて良かった。僕が大好きなSFの要素がたくさんある。エモーショナルに泣けるところもある。世界に広がることを願っています」とエールを送った。