公益財団法人「野球殿堂博物館」は14日、東京都内で「2022年野球殿堂入り通知式」を開催し、本年度の野球殿堂入りを発表した。

 競技者表彰委員会のプレーヤー表彰では現役時代に日米通算313セーブをマークしたヤクルト監督・高津臣吾氏(53)と元中日の山本昌氏(53)が選出。特別表彰委員会からは東海大学の創設者で総長を務め、首都大学野球連盟も創設し、1991年に89歳で亡くなった松前重義氏が新たに殿堂入りを果たした。エキスパート表彰は当選に必要な得票数を満たした候補者がおらず、該当者なしとなった。

 プレーヤー表彰の内訳で高津氏は311票(86・1%)、山本昌氏は307票(85%)を獲得し、それぞれ当選に必要な得票数とされている271票(75%)を超えた。

 高津氏は2016年に候補入りし、7回目での殿堂入り。現役監督の殿堂入りは2018年度の金本知憲氏以来8人目。そしてMLB経験者としては、フランク・オドール氏、野茂英雄氏、佐々木主浩氏、松井秀喜氏に続く5人目の殿堂入りとなった。

 高津氏は90年のドラフト3位でヤクルトに入団。守護神として最優秀救援投手を4回獲得するなど、4度の日本一に貢献した。その後は04年からホワイトソックスに入団し、06年にヤクルトへ復帰。日米通算300セーブを達成し、韓国や台湾、独立リーグでもプレーした。20年からヤクルトの監督を務め、昨季はチームを20年ぶりの日本一へと導いた。

 NPB・斉藤コミッショナーから通知書を手渡された後、高津氏は「いろんなリーグ、国、人々と接し、それがあって人として、ここまで野球人として成長してこれた。野球殿堂とは日本の野球に貢献し、それを称えられたことだと思っています。本当にありがとうございます。これからも微力ではありますけれども野球の発展に全力を尽くしていきたいと思います」などと感謝のスピーチを口にした。
 
 山本昌氏は昨年に候補入りし、2回目での殿堂入りとなった。中日一筋で32年間プレーし、41歳でノーヒットノーラン、さらに49歳で白星をつかみ、50代でマウンドに立つなど数々の最年長記録を残したレジェンド左腕。スピーチでは「今回、このような大変名誉な野球殿堂入りという栄誉をいただくことができました。本当にたくさんの方々に支えられてきた野球人生だったなと思う。これからは野球にもっともっと集中して貢献していきたい。このような体に生んでくれた両親、そして家族に感謝しています。これからも野球の道をしっかりと歩んでいきたい」などと述べ、謝意を示していた。

 この日行われた殿堂入り通知式のゲストスピーチでは古田敦也氏(56)が元チームメートの高津氏、同い年の山本昌氏を祝福。東海大学OBの巨人・原辰徳監督も出席し、故松前氏との思い出を語った。