特別チームアドバイザー兼務となり現場復帰したソフトバンクの王貞治球団会長(81)が31日、野手陣に〝秘伝の書〟を配布した。

 勝負の神髄に迫る「心構え」を自らが書きつづり4枚の冊子にした。「『眠れない時に読め、必ず寝られるから』と書いてある。それくらい、読んでもちっとも楽しいものではないと思うけど、絶対ためになると思う」。

 こう切り出すと「俺が60年、野球をやってきた中で、いろいろと揺れ動いたけど帰ってきたところだから。あと100年たっても野球がある以上、真理だと思う。それぐらい自信がある。これをやったからといって、君たちがうまくやれるかどうかは分からない。だけど、うまくいっている人は、こういう心理でやっているというところで似通っていることはすごく多いと思う」と思いを込めた。

 いよいよキャンプがスタートする。練習をすることに関しては、再現性を得るための準備として「当然のこと」と口にする。その上で「結果の出し方を研究してほしい。練習の延長ではないよ、試合は」。あくまでも勝負の場で結果を残すためのメンタリティーを伝授していきたいと考えている。

「例えばヤマを張ったっていい。ほかの球が来たら知らん顔して三振して帰ってくればいい。プロってそれくらいの決断が必要なんだよ。あれも来る、これも来ると打ってたら、あまりいい結果は出ないと思う。特にサヨナラのケースで打席に立った打者なんて絶対にそうだと思う。これに賭けるというくらいの思い切りを持ってほしい」。
 
 すでに昨年末に投手陣に〝投手版〟を配布済み。王流の「勝負の心構え」が今季の鷹には注入される。