子役出身の俳優・鈴木福が、17歳にして初めてキスシーンに挑んだ。

 今年度の「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」(文化庁主催)で完成した短編4作品の合評上映会が2日、都内でスタート。次世代を担う監督や出演した鈴木らキャストが舞台あいさつに立った。

 いじめられっ子の中学2年生役で鈴木が主演したのは、竹中貞人監督の短編「少年と戦車」。主人公の少年が、思春期ならではの妄想を爆発させる話で、鈴木にとっては「とても挑戦的」な作品だったという。その挑戦とは「上裸で踊るときに、中学生だからっていって『腋毛を剃れ』って監督に言われた」こと、そしてキスシーン。

 キスの相手は、主人公の妄想で出てくるセーラー服美少女を演じた女優・黒崎レイナ(23)。しかも戦車の上でという妄想シーンで、鈴木はこう振り返った。

「あの~僕のね、理想(のキスシーン)とはまたちょっと違いますけど、男のロマン的な? その戦車とその女性との関係っていうのを、そういう表し方をされるっていうのは、すごく面白いなあと思いました。あと戦車の上でキスシーンをできる俳優もなかなかいないと思うので、すごいありがたかったですね。まさかのねえ、ファーストキスシーンが戦車の上っていうのも面白い話で…」

 もう1人のいじめられっ子同級生とのキスもあった。ただし2人がいじめグループに裸踊りやキスを強要されるシーンで。その同級生役の笠井悠聖(18)は「自分も初めてのキスだったので〝あ~初めてのキスが事務所の先輩の福先輩か~〟っていう、ちょっとうれしかったのもあったのと、〝あ~(残念)〟みたいな気持ちもありましたね」。

 鈴木としては「悠聖君の前にレイナさんとのキスシーンがあったんで、ホッとしてた部分はある」という。撮影は昨年11月で、感染対策しながら撮影を行った。竹中監督によれば「黒崎さんとのキスシーンのときは、きちんと事前にアルコールが用意されてましたけど、笠井君のキスのときは、福くん自ら『アルコールは?』って言いに行かないと出てこなかった。ぞんざいに扱われていた」という。