【取材の裏側 現場ノート】大相撲初場所の期間中、東京・両国国技館内の相撲博物館で特別展「69代横綱 白鵬翔」が開催された。元横綱白鵬の間垣親方が現役時代に使用していた三つ揃いの化粧まわしや横綱の綱、太刀など合計100点を展示。親方は来日時のパスポートや相撲教習所時代のノートなど私物を提供しただけでなく、自ら展示方法まで提案する力の入れよう。賜杯のレプリカを積み上げるように並べた「賜杯タワー」も本人の発案だった。

 その〝プロデュース力〟には、博物館の担当者も「当初は展示の予定になかった品物も、自分からどんどんアイデアを出して持ち込んでいただいた。展示の仕方も、かなり細かいところまで指示してもらいました」と舌を巻くほど。間垣親方は「(展示物の)半分以上は自分が持っていたり使っていたもの。たくさんの思い出が詰まっている」と自ら手掛けた〝仕事〟に大満足の様子だった。

 その特別展に、記者も微力ながら協力させてもらった。親方からの依頼が届いたのは開催の2日前。現役時代に愛用していたカシミヤのコートの隣に「東スポWeb」掲載の写真を展示させてほしいとの要請だった。確かに、コートの現物だけでなく、実際に着ている写真があった方が見る者にも分かりやすい。関係者の尽力もあり、開催日に間に合わせることができた。

 何事にも一切の妥協を許さない姿勢は現役時代と変わらない。そのことを垣間見た今回の特別展だった。

(大相撲担当・小原太郎)