北京五輪でカーリング女子日本代表ロコ・ソラーレ(LS)が初の決勝進出を決めた一方で〝第一人者〟がいなかったら歴史は変わっていなかったかもしれない。

 いまやLSが本拠地を置く北海道常呂町(現・北見市)は、カーリングの町として知られているものの、1980年以前はカーリングを知る町民がほとんどいなかった。

 しかし、元世界王者でカナダ出身のウォーリー・ウルスリアックさんが伝えたカーリングの魅力を、常呂カーリング協会の初代会長を務めた故・小栗祐治さんが中心となって発信。小栗さんがカーリングの普及に尽力したからこそ、現在のLSがある。

 本橋麻里代表理事も「やっぱり一番最初に常呂にカーリングを持ってこようと思った小栗コーチはバケモノです」と感謝の言葉を口にする。

 LSのメンバーたちも含め、常呂町で生まれ育った子どもたちは小栗さんにカーリングを教わってきた。現在は本橋氏がカーリングを通じた地域貢献の道を模索している。

 小栗さんから受け継がれたバトン。本橋氏は「そのバケモノを超えたいと日々思います。バケモノに敵わないというふうに思いながら、やっぱりしっかりやっていかないといけない」と力を込める。

 常呂町にカーリングが伝わってから約40年。常呂っ子たちは世界の舞台で活躍。小栗さんは2017年に88歳で亡くなった。平昌五輪、北京五輪で躍動する常呂っ子たちの雄姿を目に焼き付けることはできなかった。

 本橋氏も「亡くなられた先輩たちを思うと、この瞬間を一緒に共有したかった」と複雑な思いを口にするが、きっと空の上から見守ってくれているはずだ。20日の決勝では、小栗さんも驚くようなプレーで感謝の思いを示す。