このままだと周囲のパワーが新庄ファイターズに〝一極集中〟する? 日本ハムの「ビッグボス」新庄剛志監督(50)が持ち前のコミュニケーション能力を発揮し、独自ネットワークを拡大している。

 名護キャンプ第5クール最終日となった21日は、午前中に報道ステーション(テレビ朝日系)のキャスターとして稲葉GMにインタビューを行っていた前西武・松坂大輔氏(41)が球場を訪れていた。

 取材終了後、稲葉GMと談笑していた松坂氏のもとに近づいていった新庄監督は自然な感じで松坂氏の懐に飛び込むと、時折同氏を爆笑させながら、相づちを打ち真剣にその話に聞き入っていた。

 新庄監督は「あんまりたいした話はしていない。野球お疲れさまって言って。まだまだユニホームの方がいいよね、みたいな話をして。ゆっくり休みたいみたいなことを言ってたと思う。臨時コーチ? いや、ないない。監督目指したら?って。俺でもできるんだから」と振り返っていた。

 それにしても、選手時代にほとんど接点のなかった相手の懐に飛び込むテクニックはさすがの一言。これが将来的にどう〝ビッグボスワールド〟の手助けになるのかは、指揮官自身もまだ見えていないところなのかもしれない。

 前日20日に臨時捕手コーチとして招かれた谷繁元信氏(51)とて、そのキッカケは意外なものだった。自身の現役最終打席となった2006年日本シリーズ第5戦で当時、中日の主戦捕手だった谷繁氏に「おい新庄、泣くな! 真っすぐ行くから、打て!」と〝武士の情け〟をかけられたことで、感激した新庄監督が打席で号泣したことにさかのぼる。

 本来はそれで終わるはずの両者の関係性は、それから16年後「野村克也氏をしのぶ会」で再会した縁を、新庄監督が臨時コーチという形にまとめ、両者にとって〝有益な関係性〟に昇華させた。

 多かれ少なかれ、それはこの3週間のうちに実現した武井壮、赤星、前田、藤川の各臨時コーチや中日・立浪監督らにも言えることで「常にアイデアが湧いてくる。それを普通の人はやる勇気がないけど、オレはとりあえずやってみる」と自負するビッグボスの行動力、周囲を巻き込む力がなせるワザでもある。

 今後も取材者として日本ハムの現場に来ることになる松坂氏は、近い将来、どんな形で新庄監督の右腕、ブレーンとして関わるのか。周囲の人たちの力を次々と自軍のものにしていくことで、日本ハムは戦力不足をカバーしようとしている。