「鬼の桑田」が降臨した。巨人の桑田真澄投手チーフコーチ(53)が、24日に行われた練習試合・楽天戦(那覇)後、ふがいない投球に終わった戸郷翔征投手(21)、高橋優貴投手(25)の2人を「ジャイアンツのローテーションを任せられる内容ではない」と一刀両断した。これまでは温和な語り口で試合を振り返っていたが、この日は一変して〝超辛辣〟な口ぶりに…。厳しさの裏には知られざる「親心」が隠されていた。

 あまりにも苦しい投球となった。昨季のチームの勝ち頭・高橋は2番手で登板すると、3回に先頭打者・西川に四球、二盗を許し、その後に適時打を浴びるなどして3回5安打1失点。続いてマウンドに上がった戸郷もピリッとせず、3本の安打と2つの四球などから4失点となると、二死一、二塁の場面で股間付近に痛烈なピッチャーライナーの直撃を受けて緊急降板。0回2/3を5安打4失点と散々な結果に終わった。

 これには「選手の伴走者」と自認する桑田コーチから、かつてない厳しい言葉が飛び出した。高橋に対しては「相変わらず制球が難しいですよね。彼はパワーピッチャーじゃないので、やっぱり制球力を上げていかないと」とバッサリ。

 戸郷に至っては「アバウトさは相変わらずですよね。いいところに投げて打たれたら納得なんですけど、ツーストライクから真ん中っていうのはあり得ないです。同じ失敗を何度も繰り返しているので、厳しいようですけどそういう投手は(一軍に)残れないので、何とか彼にはそこを改善してほしいですよね」と、痛烈ワードのデパート状態となった。

 辛口な批評はなおも続く。「あの内容だとちょっと苦しいですよね。ジャイアンツのローテーションを任せられる内容ではないですよね」と、両投手のローテ追放の可能性までも示唆した。

 ただ、厳しい言葉は桑田コーチの「親心」からくる期待の裏返しでもある。同コーチは今季の開幕投手について「4人にまで絞った。3月頭に決めるつもり」といまだ明言せず。表向きな理由としては、開幕直前にケガなどで離脱した場合を想定した危機管理を挙げているが、大役拝命を目指したヤングGの競争激化を図る狙いも隠されている。

 実際、開幕投手大本命である菅野は「そこ(開幕投手の決定)に関してはね、実力だけじゃないのでね。いろんな思いを込めての4人ということだと思うので」と意味深な発言を残しており、桑田コーチの心情を察していることもうかがえる。

 昨季ローテを守りきった高橋や、次期エースとして注目されている戸郷も、桑田コーチの中では開幕投手候補。それだけに、一向に課題克服の兆しを見せずに「自爆」していた両投手へ、異例ともいえる苦言が飛び出す形となったのだ。

 若手とは言え、チームの柱として責任ある立場の2人。開幕まで約1か月、果たして「親心」に応えることはできるのか。