“女芸人マニア”として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから“馬鹿売れ”しそうな女芸人をご紹介。今回は、あまりに仲が良く、「実際に付き合ってるの?」と思わせてしまう、若手の男女コンビを紹介する――。

 人を傷つけない笑いが特徴の第7世代の中でも、“究極の第7世代”と言えるほど、ほのぼのとした雰囲気をまとった男女コンビです。

【プロフィル】
 コンビ名‥人間横丁
 所属‥プロダクション人力舎
 養成所‥スクールJCA29期生(2021年卒業)
 結成‥2020年6月29日
 男性‥山田蒼士朗
 生年月日‥1999年7月23日
 女性‥内田紅多(うちだ・べえた)
 生年月日‥1997年3月15日

 2018年の暮れ、霜降り明星のせいやさんが、自分たちの世代を“第7世代”と言ったことで、この言葉が一般的になりました。その後EXIT、宮下草薙、かが屋、四千頭身などが、第7世代の代表として現在も活躍しております。

 第7世代は誰も傷つけず、毒舌は吐かず、仲が良いというコンビが多いことが特徴と言われます。コンプライアンスにうるさい最近はバラエティー番組もそういう芸人を求めているので、時代とマッチしており、ファンも安心して応援できるので人気があるのでしょう。

 しかし時がたつのは早いもので、第7世代という言葉も次第に聞かれなくなってきました。そうしたなか、“第7世代の究極形”とも思える芸人を見つけました。それがこの男女コンビ・人間横丁さん。“平和を具現化したらこの2人になった”と言ってもいいぐらいの存在です。

 一見すると「付き合いはじめたばかりのカップルなの?」と思ってしまうほど、近い距離感で仲良く漫才を披露する。決してムリしているわけではなく、笑いを取るのに絶妙な距離感で演じている。バランス感覚がすごくいいんだと思います。

 この関係性に説得力を持たせるポイントの一つが、舞台に登場する時にあります。2人ともニコニコしながら出てきて中央で立ち止まり、「人間横丁です!」と自己紹介した後、お互いに顔を見合わせる。これがコンビの関係性のすべてを表す、最適の表現だと思います。

 全く言葉を使わなくても、顔を見合わすという、たった1秒の表現だけで関係性を分からせてしまう。ここにセンスの良さがうかがえます。顔を見合わすことで鮮度と魅力がグッと増し、これは普通の漫才じゃないな、と思わず引き込まれるんです。

 2人のネタを見るとどうしても気になるのが、ネタ中の関係性やキャラクターはどこまで本当なのか、ということ。3分くらいのネタの間だけなら、演じ切ることはできるでしょうが、舞台以外の2人はいったいどんな関係なのか?「楽屋に戻ったら、2人の関係性がガラッと変わって仲が悪かったりしたらさめるな――」。こう思ってしまうファン心理はあると思います。かくいう私もその一人です。

 ちょうど最近、同じお笑いライブに出演することがありました。私は他の芸人としゃべりながらも、人間横丁は楽屋でどういう関係なのか?気になってしようがなくて、ずっと横目で観察していました。すると舞台上の距離感と全く同じ! 近くに座って、仲良く2人だけで話しているんです。まだ人間横丁さんのことを知らない芸人は「あの2人、ホントに付き合ってるんだ」と思ってしまうでしょう。

 ユーチューブなどを見ても、2人で出演している場面の関係性は全く変わらず、のどかに笑顔でほのぼのと会話を進めていきます。実際にはカップルではないそうですが、一般のお客さんから見ると、「絶対に付き合っているんだろうな」と思わせるくらいの説得力があります。

 そのため最近は、テレビへの露出もジワジワと増えはじめました。昨年の「M―1グランプリ2021」では3回戦まで進出。最近のM―1では、芸歴1年程度のコンビが3回戦に進むのはかなり難しいので、すごいことだと思います。今後、ますます注目される男女コンビになるのは間違いないでしょう。