作家でタレントの乙武洋匡氏が、ユーチューブに「教員時代、陰湿なイジメを受けていました」と題した動画を投稿した。

　２月２５日付で配信した動画で、２００７年から２０１０年まで３年任期で、東京の小学校に勤務し、担任も務めたと説明。「僕にとってはかけがえのない時間、子供たちとの時間は素晴らしかった。保護者ともいい関係が築けて」と振り返った。

　しかし「全てがいい思い出だったわけでもなくて。一番苦労したのは正直、職員室での人間関係だったんですよ。分かりやすく言うと、職員室でいじめを受けていたんですよね」と告白した。

　当時教員になるには水泳やピアノが必要だったが、区の独自の採用で３年任期で務めることになったという。

　しかし意気込んでいた出勤初日に校長室に呼ばれ、「乙武先生を快く思ってない先生方もいらっしゃるので、気をつけてください」と言われたという。

　事実、職員室の空気は良くなくて、出勤時にあいさつしても何人かは声を返してくるが、「元気よく挨拶しようと言ってる職員室がこれか？」と思ったという。

　歓送迎会で、宴席後に改めて挨拶に回ると、「どうせ腰掛けなんでしょ？」と言われたという。「なにこれ？ドラマのワンシーン、しかも安っぽい」と驚いたという。

　放課後は、職員室を離れて教室の席で仕事をするようにしたが、わざわざ職員室から教室にきて、「ここで仕事してたんだ。いま職員室で皆あなたの悪口を言ってるわよ」と言われたという。

　「結構メンタルやられましたよ」と語った。

　ひとり、破天荒なタイプの先生が、乙武氏をかばって、食事にも誘ってくれたといい「あの人がいなかったら心折れてたよね。すごい助けられて」と感謝した。

　乙武氏は「毎日辛くて」と、電車通勤中にホームに電車が入ってきたときに、良からぬことを考えてしまったことが１回だけあったとも告白。「鋼のメンタルって思われてる、その僕でさえそうなる。人間ってそういうものよ」と語った。

　乙武氏は、いじめは形が見えにくいが、何かを感じたら間に入って声をかけ、いじめられる側になってしまった時はＳＯＳを出すことを「躊躇なくやってほしい」と伝えた。