リベンジ大作戦がスタートだ。歌手のスーパークレイジー君(35)が当選無効の裁決取り消しを求めた裁判で、最高裁は4日、上告を棄却。議員バッジを失い、悔し涙を流したクレイジー君だが、「リベンジしたい」と早速、次なる一手に動きだした。

 昨年1月の市議選で当選したクレイジー君は、ヤンチャ過去と特攻服で一躍、時の人となったが、選挙前に3か月以上の居住実態がなかったとして、選挙管理委員会は当選無効を裁決。高裁、最高裁と争ったが、覆ることはなかった。

 クレイジー君は当初、「衆院と参院の違いを知らない」「委員会って何ですか?」と無知をさらけ出していたが、議員活動を通じ、子供たちの支援や議会の役割を勉強し、議員の重要さを身にしみて感じるようになった。

 弁護団の加藤博太郎弁護士は「この1年でクレイジー君は変わってきた。学ぶことへの意欲が本気だし、市議として頑張りたいという気持ちが、裁判を続けて強くなっていった」と指摘する。

 判決後、控室の引き渡しで市議会に戻ったクレイジー君は集まった50人近い支援者の前で、おわびすると同時に「すぐに違う仕事をするのは簡単。僕に投票してくれる人がいる以上、戸田を拠点に必ず胸を張れるような議員になる」と一歌手に戻るのではなく、再び議員への返り咲きを目指すと宣言した。

 ただ、戸田市議選は3年後。昨年から「スーパークレイジー君党」の政治活動で全国行脚を始め、都市部だけでなく、地方にも顔を売り始めている。当然、今夏の参院選が視野に入ってくるが、はかったかのように戸田市長選が13日告示、20日投開票の日程で行われる。

「戸田に関係するすべてのことに挑戦したい」とクレイジー君は、現職市長への有力な対抗馬がおらず、無選挙で有権者の選択肢がなくなる可能性を危惧。陣営の中から独自に候補者を擁立しようとする動きも出ている。

 この日、判決後に市役所前で、支援者を前に悔し涙を浮かべた。「泣かないと決めていたが、今日流した涙を次はうれし涙にできるようにします」と決意表明。一発屋で終わるつもりはさらさらない。