世界最高齢でのヨットによる単独無寄港太平洋横断に挑む海洋冒険家の堀江謙一さん(83)の大冒険が、いよいよ始まります。来週15日に渡米し、現地時間の26日に米サンフランシスコを出発し、約2カ月半をかけて西宮港を目指します。なぜ、挑戦し続けるのでしょうか。堀江さんに聞きました。
「行動することによって、見えない世界が見えてくる」
堀江さんは1962年、小型ヨット「マーメイド号」に乗り、西宮港から米サンフランシスコまで、太平洋の単独無寄港横断に世界で初めて成功しました。23歳の大冒険は米国でも称賛され、一躍、時の人に。その記録をまとめた航海記「太平洋ひとりぼっち」はベストセラーになり、故石原裕次郎さん主演で映画化もされました。
「太平洋ひとりぼっち」の航海から60年の節目の年となる83歳での大冒険。堀江さんは言います。「当時は60年後にこうやってまた、同じような航海をするというのは考えてもいなかった。幸いなことに健康で、ヨットも建造できました」。
85年にはソーラーパワーボートでハワイ-父島、04~05年にはヨット「サントリーマーメイド号」で単独無寄港世界一周(東回り)など、堀江さんはこれまで数々の冒険を重ねてきました。
挑戦心。常に前向きな気持ちはどこからくるのでしょうか。
「年齢を重ねても、若いときも同じ。目標があってなにかをやることは楽しい。年をとっても、できればそうありたい」
健康の秘訣(ひけつ)について「ハッ、ハッ、ハッ! とくになにもないですけどね」と豪快に笑いながら、こう続けました。
「一つ言うなら暴飲暴食をしないこと。これさえしなければたいがい、いける。アホほどお酒を飲んだりせず、腹は八分目がいい」。
人生100年時代。100歳での航海も目標ですが、「100歳で心臓が動いているかどうか、分からない(笑い)。100歳は願望であって、いま現在、元気なので、このチャンスをいかしたい」。堀江さんは「いま」を楽しみます。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)