日本将棋連盟は16日、東京・将棋会館、関西将棋会館に次ぐ公式対局拠点として名古屋対局場(仮称)を開設すると発表した。

 対局場は名古屋駅近くの大型複合施設「ミッドランドスクエア」のトヨタ自動車名古屋オフィス内に設置。主に名人戦順位戦の対局拠点として、「中部・東海エリアにおける将棋の一層の普及・発展に資すると共に、東西両将棋界の交流促進を図る」としている。

 通常の公式戦は東西の将棋会館で行われるが、対局数の増加で手狭になっていた。6月に開幕する順位戦から使用する。1日に最大7局が可能で、当面は3~4局を開催する予定だという。

 名古屋に対局場ができるのは愛知・瀬戸市出身の藤井聡太5冠(19=竜王・王位・叡王・王将・棋聖)にとっても朗報だ。

 藤井5冠は公式戦があるたびに愛知から移動。対局終了の時間次第では宿泊も強いられていた。

 藤井5冠の師匠・杉本昌隆八段の兄弟子にあたる小林健二九段は「負担はめちゃくちゃ大きいですよ。僕も一番忙しい時は月に4、5日しか家にいなかった。対局、移動、対局と続くとボディーブローのように効いてくるので、移動が減るのは大きいです」と語る。

 藤井5冠は、名古屋を拠点に中部地方の将棋普及に尽力した板谷一門の悲願である「東海地区にタイトルを」をかなえたが、もう一つの悲願が「名古屋に将棋会館を」というものだった。

 今のところは、トヨタからの提供という形になるが、小林九段は「将棋界の第一人者である聡太君が絶えず東京や大阪に移動するのはあり得ない。相手が来るのが普通です。今は名古屋将棋会館を建てるためのワンステップだと思いますが、7冠、8冠になれば機運も高まり、建設しようという話が出てきてもおかしくないでしょう」と評価した。

 地の利を得た藤井5冠は1期で名人戦の挑戦者となれるか?