尾上松緑(47)が17日、神奈川県茅ケ崎市で、江戸時代の名奉行、大岡越前守の墓参りをした。

「四月大歌舞伎」(4月2~27日、東京・歌舞伎座)の第1部「天一坊大岡政談」で大岡越前守を演じる松緑は、大岡家の菩提(ぼだい)寺である浄見寺を墓参し「歴史と重みを感じました。自分が大岡越前守をさせていただくことがあるとは思ってもおりませんでしたので、非常に身の引き締まる思いです。『あいつに大岡を任せてよかったな』と思ってもらえる大岡越前守を務めたいです」と話した。

本堂にある直筆の書を見た松緑は「あやかって東京に帰ったらあらためて台本と向き合って役を作っていきたいと思います」。

大岡越前守が登場する物語には家族で縁がある。96年のNHK「大岡政談 池田大助捕物帳」では祖父の2代目尾上松緑が大岡越前守を、父初代辰之助が池田大助を演じた。今回の「天一坊-」では長男尾上左近(16)が、越前守の息子忠右衛門を演じる。

歌舞伎や時代劇では、多くの役者が越前守を演じてきた。松緑は「私は演じる年齢が皆さんに比べて若いので、その分、さっそうとさわやかに務めたいと思います。大岡越前守は曲がったところのない、理知的で、真っすぐな人物。久しぶりにど真ん中の正義を1カ月貫いて演じたいと思います」と意気込みを語った。

実際にあった大事件を描いた演目。徳川吉宗の落としだねを名乗る天一坊を市川猿之助が、天一坊の参謀、山内伊賀亮を片岡愛之助が演じる。