開幕ダッシュのキーマンはこの男だ。巨人はドラフト3位新人・赤星優志投手(22=日大)、トミー・ジョン手術明けで実質1年目の山崎伊織投手(23)、堀田賢慎投手(20)の開幕ローテ入りが内定した。一軍公式戦で登板経験がない新顔3投手が名前を連ねる大刷新。5年連続8度目の開幕投手を務める菅野智之投手(32)には自身の復権だけでなく、もう一つの重大任務も課せられている。


 25日の開幕を控え、V奪回を目指す巨人の先発陣が大きく様変わりした。開幕ローテ争いでは、オープン戦で3試合連続失点を喫した山口や昨季11勝でチームの勝ち頭だった高橋が脱落。一方、新人の赤星は4試合(先発は3試合)で計17回を投げて防御率1・06と抜群の安定感を誇った。2019年のドラ1右腕・堀田は3試合(先発2)で計10回を無失点に抑えて支配下復帰。山崎伊は19日のロッテ戦で6失点を喫して防御率6・97ながら、将来性も買われて3試合すべて先発で経験を積んできた。

 原監督は「ピッチャー陣は相当変わる可能性があるよ」と予告していたが、その言葉通りの大刷新だ。調整が順調に進めば、開幕カードの中日3連戦(東京ドーム)は菅野、山崎伊、赤星が先発し、29日からのヤクルト3連戦(神宮)では戸郷、メルセデス、堀田が続く見通しとなっている。

 3人も新顔が並ぶローテで開幕ダッシュを切れるかどうかは、開幕投手を務める菅野の〝出来〟が例年以上に重みを増すという。

「先発投手というのは自分も投げて勝ちたいと思っているだけでなく、チームが負けていれば〝自分が勝たなきゃ、止めなきゃ〟とより力が入るもの」(チーム関係者)

 菅野自身にとっては雪辱を期すシーズンの始まりでもある。何度も故障に見舞われた昨季は屈辱の6勝(7敗)止まり。「期待してもらっている分の活躍ができなかった」と汚名返上に燃えまくっている。もちろん、チームの勝利には打線の援護が不可欠だが、まずは先発投手としての責任を果たす必要がある。

 ましてや2戦目以降に先発予定の山崎伊も赤星もペナントレースでは初登板。ただでさえデビュー戦の重圧がかかる上に〝連敗ストップ〟の負荷までかかれば、本来の実力を発揮できなくなる可能性もある。

 エース復権の第一歩を踏み出すとともに、後輩たちのプレッシャーをどれだけ軽減させられるのか。いよいよ長い戦いの火ぶたが切られる。