フィギュアスケートの世界選手権(フランス・モンペリエ)の女子ショートプログラム(SP)で史上7人目の80点台をマークし、首位発進を決めた坂本花織(21=シスメックス)が〝ロシア除外〟の異例大会に本音をのぞかせた。

 3つのジャンプを全て成功させ、80・32の高得点をマーク。試合後の会見では「80点を初めて超えることができて、スピードに乗ってジャンプを3つ揃えられたし、自分ができるベストな演技だったかなと思っています。すごく満足しています」と笑顔を見せたが、大会前は人知れずプレッシャーを感じていたことを明かした。

 今大会はウクライナ侵攻のロシア勢が除外。女子シングルは北京五輪金メダルのアンナ・シェルバコワ、銀メダルのアレクサンドラ・トルソワ、4位のカミラ・ワリエワらが不在となり、坂本は「金メダルに最も近い存在」として扱われるようになった。

 その経緯を踏まえた心情を問われた坂本は「ロシアの選手が出られなくて、急に金メダル候補って言われて大会に臨んで…」と切り出した。

「(大会前は)調子があまり良くなかったので、頑張りたい気持ちと調子があまりにも差がありすぎて、最初はすごく大変だった」

 突如として「金メダル候補」になった重荷を感じたことを明かした坂本だが、徐々に調子を取り戻すと「結果を考えるよりも、今シーズンこれで最後の演技なので思い切って精一杯滑って、満足いく演技をしようと思った」と吹っ切れたという。

「今となってはプレッシャーをあまり感じず、今シーズンずっとやるべきことをやってきたので、それを今も継続してやっている感じです」

 会見の最後は「今日の結果に対しての満足度は、もう100%の喜びくらいうれしいです」と満面の笑み。重圧を乗り越え、26日のフリーに臨む。