フリーアナでニュースキャスターの有働由美子アナ(53)に物言いだ。有働アナがキャスターを努めるニュース番組「news zero」(日本テレビ系)で21日、ウクライナにいるジャーナリストとの中継があったが、空襲警報が鳴っていることが分かると、続行の意思を見せた現場に反して有働アナが「中継、終わりましょう」と促した。ネット上では「さすがだ」「正しい」との声があるが、戦場ジャーナリストは「現場の判断に任せていい」と指摘した。

 このやり取りは、キエフにいるジャーナリスト佐藤和孝氏と有働アナの間で行われた。佐藤氏が「空襲警報が鳴っていますね。聞こえますか? これ空襲警報です」と落ち着いた様子で話すと、有働アナは「すぐに逃げてください! 中継は後でしましょう」と提案。佐藤氏は「大丈夫です。そういう状況ではない」と続行を希望した。

 こうして中継は続いたが、佐藤氏が「今、後ろの方でも銃声音がしていますね」と伝えると、有働アナは「中継、終わりましょう! なるべく安全なところに移動しましょう」と告げた。これを受けて佐藤氏が「これがキエフの現状です」と話し、中継は終わった。

 一部では、この有働アナの姿勢に称賛の声が寄せられているとの報道があった。確かにツイッターなどには、「有働さんは正しかった」「冷静に避難させる有働キャスターがかっこよすぎて痺れた」「やるべき行動だったと思う」との意見が書き込まれていた。

 だが一方では、「危険なこと承知でレポート依頼してるのに…」「安全な日本に住んでる価値観で危険危険ってなんの為に中継繋いだんだよ」と、違和感を覚える書き込みもあり、論争に発展している。

 中東の紛争地で佐藤氏と会ったことのある戦場ジャーナリストは「佐藤氏は戦場取材のベテラン。彼の判断に任せておくのがよかった。有働氏を責める必要はないが、称賛もなくていい」と述べた。

 とはいえ現地で空襲警報が鳴っていたということは、危険が迫っていたのではないのか? 戦場取材では何を基準に危険かどうかを判断しているのだろうか。

「空襲警報が何に反応して鳴っているのかというのがありますから。それは現場しか判断できない。逃げるかどうかは音や周囲の雰囲気ですよね。みんな逃げてるなら逃げますよ。あとモーターって呼んでる迫撃砲は、シュルルーという空気を裂く音がするんです。その音が近づいたら逃げます」(同)

 佐藤氏が「大丈夫」と言ったということは、現場の雰囲気がそこまで切羽詰まったものではなかったというのだ。

「佐藤氏ほどのキャリアのある人なら、雰囲気で逃げるべきかどうか分かる。有働氏は『大丈夫ですか?』と聞くだけにとどめておくのがよかった。『安全なところに』と言うが、そもそも紛争地に安全なところはない。それでも『逃げろ』と言うなら、現地から中継なんてできませんよ」(同)

 もっとも有働アナと佐藤氏のやり取りは、かえって視聴者にキエフの現状を強調することにもなったといえる。早く警報の鳴らない日々に戻ることが望まれるのは間違いない。