堺雅人:久々のドラマ出演に「待ち望んでいた2年間だった」 「ダマせない男」で“絶対にだませない詐欺師”に

スペシャルドラマ「ダマせない男」で主演を務める堺雅人さん
1 / 7
スペシャルドラマ「ダマせない男」で主演を務める堺雅人さん

 俳優の堺雅人さんが詐欺師を演じるスペシャルドラマ「ダマせない男」(日本テレビ系)が3月26日午後9時から放送される。「半沢直樹」(TBS系)以来、約2年ぶりのドラマ主演となる堺さんが演じるのは、“絶対にだませない詐欺師”。久々のドラマ出演に「『やりませんか』と言われないと何もできない仕事。やっぱり楽しいので、ありがたい」と笑顔を見せる堺さんに、作品の魅力とともに、俳優としての今後について聞いた。

ウナギノボリ

 ◇“体の声”を改めて体験

 ドラマは、堺さん演じるお人よしのサラリーマン・絹咲正が、ひょんなことから女詐欺師の浅香澪(門脇麦さん)からスカウトされ、詐欺師として10億円の詐取計画に巻き込まれるというストーリー。広末涼子さんが、正と澪から詐欺計画のターゲットとして10億円の土地売買を持ちかけられるリゾート会社社長・大森詩子を、生瀬勝久さんが正と澪に大森から10億円を奪うよう指示する大手ゼネコン社長・貴島源一郎をそれぞれ演じている。

 前回のドラマから約2年。久々の出演に「やっぱり楽しいので、ありがたいな」と語る堺さん。「『こういう企画をやりませんか?』と言われないと何もできない職業なので、台本をいただけると『ありがたいな』『うれしいな』という思いになる。そういう意味では待ち望んでいた2年間でした」と話す。

 そんな堺さんが本作で演じたのは詐欺師。といってもスマートに相手をだますというキャラではなく、優しくお人よしで、しかもすぐ人を好きになってしまうため、だまそうとするのも一苦労という役どころだ。2年前に演じた半沢直樹が「自分のペースで、“頭”で進めていく役」と振り返る堺さんにとって、本作の絹咲正は「いろんなことを“体”で進めていくタイプ」。「台本にせりふがあるので、ついつい“頭”で考えてしまいがちなんですが、今回はそれまでないがしろにしてきた“体の声”を改めて体験することができました」と語る。

 広末さん演じる大森をだまして大金をせしめようと奮闘するという物語だが、堺さんは「恋愛を描いた作品」と解釈した。

 「自分の中で『“恋愛映画”なんだ』と思ったらいろんなチャレンジが出てきて、とても楽しくなったんです。恋をするときの“体”に起こるいろんなドキドキ。それはいわゆる“ザ・恋愛ドラマ”では照れくさくて描かないことで、ひょっとしたら、詐欺師、それも恋愛詐欺という回りくどい形をとらないと、描けないドキドキなのかもしれません。(正が)恋を楽しもうと思った時に“体”が出てきたのかも」

 ◇50代は「若い人に怒られたい」

 堺さんが「半沢直樹」で主演を務めたのは、39歳から40歳になった2013年。出演作を挙げて40代を振り返ってもらうも、「メンタリティーは全く変わってないですね。成長していない。そのあたりの作品を入れ替えても『ああ、そう』という感じ。何の成熟もない俳優ですよ」と笑う。

 一方、正役を演じていくうちに「一生懸命だましたら、そこに真実が混じる」と感じたという堺さん。「役者の仕事と似ていて、一生懸命やろうとすると、そこに本当が混じるんです」と語る目は真剣そのもの。“ほれっぽい”正の役どころに対して、単純な言葉ではなく「ほれるとはどういうことなんだろう」と考察を深めながらアプローチするのが楽しかったと話し、“ほれる”瞬間の心の動きにまで思いをはせる……。そこにあるあくなき探究心と、役に対する丁寧で謙虚な姿勢は、とても“成長していない”俳優にはないものだろう。

 50代になってやってみたいことを聞くと「若い人に怒られたい」と語る。「50代になったら、スタッフさんが娘、息子の年代でもおかしくありません。そんな若い人たちが考えていることをやらせていただくって、こんなにうれしいことはないでしょう。そして『真面目にやってください』って怒られるのって、最高にうれしいと思います」と話す。「今回も、噴き出しちゃいけないときにオレンジジュースを噴いて、若い助監督さんに怒られたんですけど、ちょっとうれしかった」といたずらっぽい笑みを見せた。(MANTAN/立山夏行) 

写真を見る全 7 枚

テレビ 最新記事