第94回アカデミー賞で4部門にノミネートされた「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督(43)と主演の西島秀俊(50)、霧島れいか(49)岡田将生(32)が授賞式前日の26日(日本時間27日)米ロサンゼルスで日本メディアの取材に応じた。

西島は、アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーが俳優、プロデューサー、監督といった、映画の作り手が投票権を持っていることを踏まえ「映画を愛して映画を製作している人たちの集まりなので、製作する仲間という気持ちで参加したいと思っています」と授賞式に臨む思いを語った。

その上で「なかなか行けない場所なので、いろいろなものを見て感じて、それを持ち帰って、日本の若い俳優さんやスタッフさんたちと共有してもっともっと若い世代が、ここにまた、たくさん来られるように少しでも何か伝えられたらなと思っています」と、日本の次世代の映画人にアカデミー賞の経験を語り継ぐ決意も示した。

霧島は「ずっと夢心地で今も信じられない気持ちですが、昔から映画館のスクリーンで見ている方たちが同じ会場にいるのかと思うと、目の前にしても信じられないんじゃないかと思っています。ここにスクリーンがあるんじゃないかという気持ちになるんじゃないかと」と興奮気味に語った。

岡田も「現実味がないというか、本当に明日、皆さんとあの場に立った時にことの重大さが分かるんだろうなと思っています。一生に1度の経験になると思うので、たくさんの人と会っていろいろなものを吸収したいと思っています」と胸を躍らせた。

「ドライブ・マイ・カー」は、舞台俳優で演出家の家福悠介(西島)が満ち足りた日々を送る中、脚本家の妻音(霧島)が、ある秘密を残したまま突然この世からいなくなってしまう。その2年後、喪失感を抱えたまま生きる家福は、演劇祭の演出をするために滞在した広島で寡黙な専属ドライバー渡利みさき(三浦透子)と出会い、みさきの運転を1度は拒否するものの受け入れる。音と深い関係があった高槻耕史(岡田)を俳優として演出する中、心が揺れ動く家福だったが、みさきとともに過ごす中で、それまで目を背けていた、あることに気づかされていく物語。

授賞式は27日(同28日)、ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われる。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)