意地を見せろ――。日本代表は24日のカタールW杯アジア最終予選オーストラリア戦(シドニー)に2―0で勝ち、7大会連続7回目の本戦切符を手に入れた。今後は11月開幕のW杯でベスト8入りを目指していく中、消化試合となった最終予選ベトナム戦(29日、埼スタ)も無駄にはできない。元日本代表FWの武田修宏氏(54=本誌評論家)は、すっかり影が薄くなりつつある〝至宝〟に奮起を促した。


 オーストラリア戦ではMF三笘薫(24=サンジロワーズ)が2得点をマークし、日本をカタールW杯へと導いた。森保ジャパンは最終予選序盤に苦しみながらも、しっかり出場権を確保。武田氏は「叩かれたこともあったけど、結果がすべての世界なんだから、7大会連続のW杯を勝ち取ったのは素晴らしいことだよ」と森保ジャパンをたたえた。

 これからはカタールW杯で目標にするベスト8入りへ向けた準備がスタート。まず消化試合となったベトナム戦は、これまで試しづらかった選手や戦術にトライできる重要な機会となる。そこで武田氏はMF久保建英(20=マジョルカ)に期待した。「W杯が決まってうれしい気持ちもあるだろうけど(24日の)オーストラリア戦も出てないし、悔しさはあると思うよ。ベトナム戦は出るだろうから、結果を出してもらいたい」

 2019年夏にスペイン1部の名門レアル・マドリードに移籍した久保は、A代表招集の常連となったが、定位置確保には至っていない。先日のオーストラリア戦や2月1日のサウジアラビア戦といった最終予選の重要局面ではベンチからの出番はなし。かねて指摘される守備面の不安が一因になっている可能性もあるが、武田氏は「長所で勝負すればいい。ドリブル、シュート、パスもうまくてチャンスメークは得意。ラストパスのセンスも光る。短所を消すというより、長所をどんどん伸ばしてほしい」とアドバイスを送った。

 また、元日本代表ストライカーは、オーストラリア戦でヒーローとなったMF三笘も発奮材料になっているとみている。「ちょっと前なら久保が、ああいう場面で出ていたかもしれない。今度は自分がやってやると思っているはず。あと三笘に関しては、結果を出してやろうと気持ちがプレーに表れていた。これからも切磋琢磨していけば、久保も含めてみんなが、もっとよくなるよ」と指摘した。

 久保の得意ポジション(右ウイング)には、最終予選で大活躍のMF伊東純也(ゲンク)が君臨するが、今後はアジアから世界基準を見据える戦いとなり、勢力図が一変する可能性は十分。〝日本の至宝〟は、その称号にふさわしい地位を森保ジャパンで確立できるか。