富野由悠季監督が手がけたアニメ「リーンの翼」のオリジナルサウンドトラックが3月28日にApple Music、Amazon Music Unlimited、Spotifyほかで配信をスタートした。「リーンの翼」は、富野監督が1983年に発表した小説をベースにアニメ化し、2005年に配信された。サウンドトラックが初めて音源化され、配信されることになった。2023年にブルーレイディスク(BD)、サウンドトラックCDの発売を予定している。
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富野監督は「『リーンの翼』の劇伴の音楽が樋口康雄氏という天賦の才能に恵まれた作曲家の手になったことが唯一の幸せだった。自分にとっての思いの丈だけで執筆し制作した作品だったために、人気が得られなかったのだが、この楽曲のおかげで、再見する気にさせてもらえる幸せを手に入れられているからである。30年以上の時が過ぎながらも、メディア環境の変化もあって、再会できる幸せは、視聴してくださる方々がいらっしゃってくださるからでもあるので、心から感謝している」とコメントを寄せている。
音楽を担当した樋口康雄さんもコメントを寄せた。樋口さんは「17年前のことを思い出しながら書いてみる。富野監督との音楽打ち合せということで、どこぞの私鉄に乗って駅から商店街を歩いて着いたところがサンライズの会社だったのであろう。大きな部屋に続く小さな部屋があってそこで打ち合せをするという」と振り返り、「監督は大きな部屋から入ってきた。ドアは開けっ放し。監督いわく『ボクがこの部屋に入ってドアを閉めちゃうと向こうにいる人たちは監督が何か秘密のことでも話してるんじゃないかと心配するのでドアは開けてあるの』と。みんなが不安にならないようにいつもそうしているんだと。作曲の委嘱は『そういう気遣いのある音楽を書いてほしい』と一言。あとは雑談で肝心な音楽打ち合せはこれだけ」とコメント。
「『うーん、なぞなぞできたな』と思ったけど『それならこちらもなぞなぞで』と覚悟を決めた。ストーリーボードにあった作画の数枚のコピーをもらってきたのでその中から俯瞰(ふかん)ショットの一枚を選んで壁に張った。今でいうドローンからの見た目みたいなバイストンウェルの絵。私は世界観が決まるといくらでも書けるタイプ。その絵に触発されてなぞなぞ音楽を速攻で36曲書いた。レコーディング当日には富野監督も来て、なんとコントロールルームの床に正座して聴いていた。いつもそうしているのかどうか分からないがニコニコして聴いていたので、私がなぞなぞになぞなぞで返したことをそんなに気にしてないふうに見えた。気に食わなかったらさっさと帰ったに違いない。あぁ怒られなくてよかった」と話している。
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