「喝采」「北酒場」など多くの名曲を手がけた作詞・作曲家の中村泰士氏(76)が16日、大阪市内で、盟友の佐川満男(76)から、園まりが66年に歌い、ヒットさせた「夢は夜ひらく」を、5万円で売っていたことを暴露された。

 中村氏はこの日、大阪・なんばグランド花月階下のYES THEATERで、喜寿記念公演「~大阪を歌謡曲の聖地に~中村泰士Kiju’77 コンサート」を発表。同公演へゲスト出演する佐川も、会見に同席していた。

 同コンサートは、中村氏が喜寿を迎える77歳の誕生日、5月21日に、YES THEATERで開く。喜寿にちなみ「77曲を歌い、公演時間も7時間7分にする」と言う。

 佐川は、その77曲の1曲目に「夢は夜ひらく」が予定されていることを知り「これ、これ! 思い出あるんや」と語り始めた。

 佐川によると、同曲は当初、中村氏が佐川のために書いた曲だったそうだが、佐川が当時「おれは歌手としてダメやったんで、歌わせてもらえんかった」とか。だが、同曲にほれていた佐川は、中村氏に「なんとかオレが歌えるように」とお願いしていたという。

 ところがある日、佐川がパチンコ店で「あれ? この曲? と思ったら、園まりが歌ってた」とか。佐川が中村に事情を聴くと「当時(中村氏も)金に困ってて、5万円で売ったって!」と明らかにした。

 「夢は夜ひらく」は、複数歌手の競作でレコード発売され、園まりの楽曲がヒットした。発売翌年67年には、園まり主演で、同曲をモチーフにした映画化もされ、70年には同曲を原曲にした「圭子の夢は夜ひらく」を藤圭子が歌って爆発的ヒットをさせている。

 それを5万円で…と、暴露された中村は「そうや!」と苦笑しながら認めた。ただ、中村氏はその後もレコード大賞受賞曲をはじめ、無数の名曲を世に送り出しており、現在は「大阪の歌謡界活性化」を目標に掲げて、精力的な活動を続けている。

 中村氏は、喜寿コンサートでは、大ファンだった故石原裕次郎さんの「赤いハンカチ」「恋の町札幌」「夜霧よ今夜もありがとう」も歌うといい、長丁場ライブに備えた体力づくりも計画中。「まずは健康診断を受けてチェックしてから、とにかく歩いて、本番までに3キロはやせたい」と話していた。