スピードスケート女子の小平奈緒(35=相沢病院)が12日、長野市内で会見を行い「緊張しているのですが」と切り出した上で「今年10月の全日本距離別選手権を競技人生のラストレースにします」と報告した。

 長野・茅野市出身の小平は、2010年バンクーバー五輪で団体追い抜き(チームパシュート)のメンバーとして銀メダルを獲得。2018年平昌五輪では、500メートルで五輪記録を更新して金メダル、1000メートルでも銀メダルに輝いた。W杯では500メートルと1000メートルで合わせて通算34勝をマーク。数々の国際大会で結果を残してきた。

 ただ、平昌五輪後は苦しい日々を過ごしてきた。翌シーズンの終盤に股関節痛を発症。19年2月には3年近く続いた500メートルの国内外での連勝記録が37でストップした。

「究極の滑りを目指すと言っておきながら、自分の体も使いこなせない状況では、この先がないなと感じました」とどん底を味わいながらも、20年11月からは陸上トレーニングを取り入れ、周囲のサポートを受けながら股関節の違和感を修正。北京五輪を前に「8割ぐらいは自分の体だと思える状況まで一緒に積み上げてきました」と準備を進めてきた。
 
 しかし、1月15日に雪道で脚を滑らせて右足首を捻挫。北京五輪では500メートルで17位、1000メートルも10位に沈んだが「年が明けてから一度、絶望的な状況に陥ってしまった。この大会に間に合うか心配だったが、少しでも希望を見ることができたので、最後成し遂げることはできなかったけど、しっかりと自分なりにやり遂げることができたのかなと思います」と振り返った。
 
 北京五輪シーズンを終えて「自分自身ではまだまだ滑れる」と手応えを感じた。それでも「スケートだけで人生を終わりたくない」と競技人生のゴールラインを定めた小平。まずは地域の講演会やイベントに参加しながら、10月のラストレースに備える。