スピードスケート女子の小平奈緒(35=相沢病院)が現役引退を表明したことを受けて、日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(64)は「競技生活を全うしたと思う」とねぎらいの言葉を送った。

 2018年平昌五輪500メートル金メダルの小平について「幸運にも私は決勝の会場にいた」と切り出した山下会長は「小平選手の立ち振る舞いは、我々スポーツ人の鑑。李相花(イ・サンファ)選手(韓国)と2人の交流も非常に心に残っている」と、レース後の〝名シーン〟を振り返った。

 同種目は小平と自国開催で3連覇を狙った李がハイレベルな争いを繰り広げた。その後、小平が銀メダルに涙する李を抱擁した場面が感動を呼び、大会のハイライトの1つとなった。山下会長は「勝った、負けただけじゃない。この試合が終わった後の小平選手と李相花選手の中にはオリンピズムがあった」と称賛した。

 小平は北京五輪で17位に終わり、連覇を逃した。それでも「十分やりきったと思う」と山下会長。続けて「しっかり体を休めて新しい人生を歩んでいただきたい。彼女の人生の中に成功のエッセンスが詰まっていると思う。『ご苦労さま、ありがとうございました』。そういう言葉しか浮かばない」とコメントした。

 小平は12日に会見を開き、10月の全日本距離別選手権を「ラストレースにする」と表明した。