ゼロワンの弾丸戦士・田中将斗(49)が14日、「頸髄損傷」の重傷を負った盟友・大谷晋二郎(49)への思いを語った。

 大谷は10日の両国国技館大会でノアの杉浦貴と対戦。ジャーマンでコーナーに叩きつけられた直後に動けなくなり、救急搬送された。専門医の検査の結果「頸髄損傷」と診断され、13日には今後の悪化を予防するための手術が行われた。

 田中は「こういう大きなケガはあってはいけないことだとは思うんですが、僕たちは常にそういうところとも戦わないといけない。個人的な意見ですが、僕は覚悟を持ってリングに上がっていますし、そういう状況になるかもしれないなと思いながらやっているのは確かです」と語った。

 1993年7月にデビューしたFMWに入門する際に「ケガをする恐れがある」と一筆書く欄があり、親に記入してもらってから覚悟を決めているという。

 また、今回の件で特に田中が心を痛めているのが、ネット上でさまざま議論が起こっていることだ。「難しいですよね」とした上で「安全な技っていうのはないんですよ。100%安全な技なんてない。だから、勝手に『あの技はどう』とか『危険』だとか、やったことのない、受けたことのない人が言うのは違うんじゃないかと僕は思います。そういうのに発して、君たちは何が言いたいの? 人を傷つけたいの?っていうのはありますね。正直言っていいですか。そういうの目にするの、僕は胸クソ悪いです」と口にした。

 特に対戦相手だった杉浦に対する心ない書き込みもみられ、サイバーファイトの武田有弘取締役は「やめてほしいとひたすらお願いするしかないですね」と声明を出している。

 田中は大谷の妻・江梨子さんが14日に出したメッセージを引き合いに出し「僕は誰の責任とかないと思う。大谷さんの奧さんが『プロレスラー大谷晋二郎と結婚するときに、覚悟を持っていた』と言っていたし、杉浦さんに対しても『ご迷惑をおかけしました』くらいの言葉を出していた。一番近い奧さんがそう言っているのであれば、そういうこと(誹謗中傷)を言うのは間違いだと思う。それ(江梨子さんのメッセージ)を見てからまたそういうことを言うなら、そいつはクソですよ」ときっぱり。

 さらに「(江梨子さんは)プロレスに対して悪いイメージを持っていない。懲りずに頑張ってくださいというエール、杉浦さんへのエールだと思う」と語った。

 2018年6月3日の札幌大会、田中と世界ヘビー級選手権で対戦した小幡優作がコーナーから落下。その後、首に重傷(椎体前方骨折)を負ったことが判明し、無期限欠場が続いている。

 だからこそ田中は「僕もあの時は本当に落ち込んだ。ちょっと違うかもしれないけど、杉浦さんの気持ちは多少は分かっているつもりなんですよ。だから、杉浦さんに対するのをSNSとかで目にすると、本当にムカつくんです。もうへこんでいるのは分かってじゃないですか。それを追い打ちをかけるようにズキズキくるんですよ。だから何をしたいの?って思いますよ」と感じている。

 リング上は今後、大谷が不在になる。それでも「(両国大会の)最後、北村(彰基)が締めたし、未来をつくっていく中にもちろん田中将斗はいますけど、あの状況で締めた北村はすごく勇気がいると思う。みんなそういう気持ちなら、ゼロワンは大丈夫だと思う。リング上は任せてくれて問題ないんじゃないですかね。みんな大丈夫だよというのをリング上で見せないといけない」と語気を強めた。

 最後に大谷個人への思いを聞くと、田中は「(大谷とのタッグチーム)炎武連夢(えんぶれむ)はいつまでたっても終わらないということです。任せておいてください」と語り、静かに盟友の回復を願った。