ロッテ・佐々木朗希投手(20)が17日の日本ハム戦(ZOZOマリン)に先発し、8回まで14奪三振を含むパーフェクトピッチングのまま降板した。試合は延長10回、0―1で敗戦。交代は先を見据えての首脳陣判断で、MLBの歴史にもない2試合連続完全試合達成という大偉業はならなかったが、改めてその才能の突出ぶりを示した。そんな佐々木朗の早期メジャー挑戦を見越した米球界関係者たちは「バーゲンセールだ!」と今から色めき立っている。


 降板後の佐々木朗は「無失点で試合を進めることができて良かったんですが、ちょっと球数が多くなってしまったのと、フォークの精度がイマイチだったので、そういったところをもっと良くなるようにしていきたい」とコメント。前回に比べてもうひとつだった調子、制球面での課題に満足度は低いようだった。

 その一方、延長10回に決勝ソロを放った日本ハム・万波が「すごいピッチングをされて、歴史的な瞬間を目にしたような感じ。やっべーなと思って、フォークはめちゃくちゃ落ちるし。真っすぐは差されるし本当にすごいピッチャーだなと思った」と振り返り、ビッグボス・新庄監督は「いちファンとして、あと1回見たかった」。直球、フォークの破壊力は完全に異次元の球種だった。

 実現はしなかったが、メジャーでも2試合連続パーフェクト達成者はおらず、1938年に記録されたジョニー・バンダーミーア(レッズ)の2試合連続ノーヒットノーランが「最も再現することが難しい記録」として語り継がれている。

 その不滅の大記録に近づくどころか、やすやすと超えてしまいそうな可能性を見せた佐々木朗の才能は、ベースボールと野球の歴史上、例のないレベルにあるのかもしれない。

 日本球界に詳しいメジャー関係者の一人は「調子がもうひとつでも、相手打者が手も足も出せなかった。直球の角度、スプリットの落差とも間違いなくエリートクラス。来年のWBCに彼が出場することになれば、山本由伸以上の注目株となって30球団すべてのGMが球場に足を運ぶことになるはず」と164キロ右腕に最大限の敬意を表した。

 2023年3月に開催が見込まれている第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は昨年のア・リーグMVP・大谷翔平投手(27=エンゼルス)の選出と合わせ、沢村賞右腕で現在のNPBで最高の先発・山本由伸投手(23=オリックス)の「ショーケース(品評会)」と見られている。

 しかし、ここにきての佐々木朗の覚醒で情勢は一気に変わりつつある。現行制度では25歳未満の選手は国際フリーエージェントの対象のため、仮に佐々木朗が25歳を迎える26年シーズンまでにメジャーに挑戦する場合、年俸が抑えられることになるのだが、佐々木朗がそこまで待たなかった場合はどうなるか。

 ケガさえなければ適正価格2億ドル(約252億円)は下らないエリート級の先発投手を17年オフの大谷同様、わずか数億円で手に入れるチャンスが出てくるのだ。

 そのため、前出関係者は「そうなれば大谷以来の大バーゲンセール。エース級どころか、メジャーの歴史にもいないレベルの投手をわずかな資金で手に入れられるチャンスに興味のない球団はない」と断言。来年3月に起こりうるWBCでの朗希フィーバーを早くも予想している。