小泉純一郎元首相(80)が高齢を理由に講演活動をやめることが19日、一部で報じられた。政界引退後、脱原発活動をライフワークとしていた中、講演活動を“引退”するというのだが、いったい何があったのか?

 小泉氏が顧問を務める「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」の木村結事務局次長によると、今年1月に80歳となった小泉氏は「講演はもうしない。今年は全部キャンセルにしてほしいと」と申し入れがあったという。

 小泉氏は2009年に政界引退したものの13年から原発ゼロを訴え、再び表舞台で活動。多い時には月に数回、全国で講演会を開催していた。

 コロナ禍に見舞われた一昨年と昨年はその数も激減。「コロナで期待していた方々に何度もキャンセルしてしまったことや、コロナもこの先どうなるか分からない中で、また半年後という約束になってしまう。いったん引き受けたものを自分から断るというのがつらくなっている」(木村氏)

 気になるのは講演会をやめることで脱原発活動もやめてしまうのではないかということだが、木村氏は「原自連の幹事会にはいらしていますし、原発ゼロ活動をやめるつもりはなく、顧問のままです」と講演活動のみの“引退”と強調する。

 今月、新潟で行われた柏崎刈羽原発の再稼働反対のシンポジウムでも当初、小泉氏が講演する予定だったが、キャンセルとなった。それでも義理堅い小泉氏は会場に赴き、講演こそしなかったもののマイクを持ってのあいさつは行っていた。

 今年1月、欧州連合(EU)の欧州委員長宛てにグリーン投資に原発エネルギーが含まれていることに反対声明を出した際には、日本外国特派員協会で会見も行っている。「記者会見なら直前で決まるものなので、これからも出られるのではないでしょうか」(木村氏)

 表舞台から完全に姿を消し、隠居するわけではなく、今後も折を見て、小泉節を披露することになりそうだ。