新日本プロレスの棚橋弘至(45)が、〝狂犬狩り〟のためのベルト必携を誓った。ウィル・オスプレイ(28)とのIWGP・USヘビー級王座決定戦(5月1日、福岡PayPayドーム)を控え、〝狂犬〟ジョン・モクスリー(36)から5月14日(日本時間同15日)米ワシントン大会での対戦要求を受けている。コロナ禍で不透明な状況が続いた同王座の意義を果たすためにも王者として海を渡る。

 負傷欠場中のSANADAの王座返上を受けて行われる新王者決定戦。対戦相手のオスプレイは16日のシカゴ大会でモクスリーに敗れた直後だが、棚橋に油断はない。「僕がオスプレイの立場だったら、USヘビーを取ってモクスリーにリベンジというか、『挑戦してこい』と言いたいところ。彼のモチベーション的には下がってないと思ってますね」と警戒する。

 この試合は棚橋にとっても必勝の思いを強めるきっかけとなった。勝者のモクスリーから「お前はずっと逃げ回っている」と名指しで批判され、ワシントン大会での対戦を要求されたからだ。

 確かにモクスリーは新日本参戦当初から棚橋との激突を熱望していたが、あくまでリスペクトの延長線上で、そこまで攻撃的な発言ではなかった気がする…。唐突にキバをむかれたエースは「急にそんなん言われてもと。彼の発言力を考えると、米国のファンに棚橋がモクスリーから逃げてると思われてしまう。僕、生まれてから一度も逃げたことないですから」と応戦した。

 もちろん王者として狂犬の前に立つつもりだ。「ベルトを持って行かないと『お前、何しに来たんだ』って言われちゃうんでね」。昨年8月のロサンゼルス大会でUS王座を初戴冠した際に立てた「再び王者として米国に戻る」という誓いを果たす絶好機でもある。

「米国の選手を相手にやらないと、日本人が巻いている意味がないというか。コロナの状況が少しずつよくなってきているので、ここからUSヘビーの本領を発揮できるんじゃないかと。米国では歓声も解禁になってますし、日本のファンにも見ていただいて『プロレスっていいな』と思ってもらいたい」

 オスプレイ不在で迎えた今シリーズは「何か策を練るのか、ダイエットをするのか。この時間をどう過ごすかが大事」と語っていた棚橋。ところが「開幕戦(18日、名古屋)でハイフライ(フロー)で勝ったんですけど、重量感がやばかった。必殺技の威力としては上がってます。むしろ増量にかじを切った方がいいのでは…と、渡米前に作戦が迷走してますね」。体重の話題になると途端に歯切れが悪くなっていたのが唯一の不安材料と言えそうだ。