一体、これ以上どんな手を打てば…。阪神は21日のDeNA戦(横浜)にも5―7(6回途中降雨コールド)で逆転負けを喫し、4連敗となった。

 前日までリーグ最少の51得点と慢性的な得点力不足に悩む打線のテコ入れに矢野燿大監督(53)がこの日、活路を見い出そうとしたのは、これまでは「控え」に甘んじていた面々。2番に前日、途中出場で安打を放っていた熊谷敬宥(26)、7番に山本泰寛(28)の2人を抜擢。主砲・佐藤輝明を3番に据え、4番・大山悠輔(27)、5番に糸井嘉男(40)、6番・中野拓夢(25)の新布陣で臨んだ。

 打線改造により現状打破への突破口は開けたかに見えた。序盤は、指揮官の起用に熊谷、山本の抜擢組が応える展開。1回に右前打でさっそく好調ぶりを示した熊谷は3回無死一、三塁では先制犠飛をマークするなどして機能すれば、山本も4回までに2打数2安打。矢野監督も「また使いたいと思う結果と姿を見せてくれた」と起用に応えた2人の躍動に目を細めたうえ、この日はさらにサプライズとも言える〝うれしい誤算〟もあった。

 1―3と逆転を許し、2点を追った4回だ。一死満塁で代打で登場した3年目の小野寺暖(24)が、DeNA・坂本から今季1号の起死回生の代打逆転満塁弾。5―3と一時は大逆転に成功し、虎ナインが陣取る三塁ベンチはこの一発で沸き返り、連敗脱出への気運は確実に高まりつつあった。

 だが…。投打がかみ合わない現状は、この日も変わることはなかった。ここ1週間は安定していた中継ぎ陣が誤算だった。4回2番手で投入された馬場皐輔(26)がDeNA打線につかまった。

 4回に楠本に被弾後、5回には自らの暴投と5本の単打を集められ、またたく間に3点を失い5―7と再逆転を許すと、最後は降りしきる雨にダメを押され、6回途中で降雨コールドで、試合はジ・エンド。代打起用で満塁弾を放った小野寺を含め、伏兵の活躍で一時は、勝機も見えただけに、あまりにも痛い敗戦となった。

 何をやっても勝利につながらない現状に矢野監督も「もちろん、俺も歯がゆい。みんな必死でやっているだろうし…」と意気消沈気味。連敗は4に延び、早くも今季5度目の同一カード3連敗、借金はワーストをさらに更新する「16」となった。