巨人が29日の阪神戦(東京ドーム)に2―3で惜敗。先発した菅野智之投手(32)がまさかの3回2失点で早期降板となったことが大きな誤算だった。右ヒジの違和感により30日には登録を抹消される見込み。今後のエースの状態が心配されるが、この日のマウンド上での立ち振る舞いについても苦言を呈する声が上がっている。

 初回こそ三者凡退に抑える好発進を見せた菅野だったが、2回には安打と四球、味方の失策から無死満塁の大ピンチに…。なんとか後続を打ち取って危機を脱したものの、直球の平均球速は140キロ台前半でボール先行の投球が続くなど、エースらしからぬ状態となっていたことは明白だった。

 3回には二死一塁から佐藤輝に甘く入った143キロの直球を完ぺきに捉えられ、右翼スタンドのバルコニー席へ特大の先制2ランを被弾した。結局、この回限りでの降板となった。

「先発の役割を果たせるように次回登板に向けてしっかり調整をしていきます」と次戦に向けた意気込みこそ語ったものの、原監督は「正常ではなかったですね。(次回登板は)それはちょっと、今は何とも言えませんね」と白紙を強調。桑田投手チーフコーチも「ヒジの違和感があるとのことで、去年のこともあるので早め早めに対処していかないとなということで、一度抹消を決めました」と再調整を明言した。

 ヒジの状態は心配されるが、懸念事項はマウンド上での立ち振る舞いにもあるという。納得のいかない投球が続き、終始、イラ立ちを抑えられずにいた菅野。安打を打たれた際や四球を許した際にはマウンドを蹴り上げたり、足元を踏みつける光景が多々見られた。

 以前より、周囲からはこんな声も出ていた。「今の若い選手は先輩や指導者が少しでもカリカリした場面を見せると萎縮しやすいんです。だからこそ、エースやベテラン投手はマウンドに上がったらネガティブな感情を絶対に出してはいけない。無駄な萎縮を生むと、その後の守備や打撃にまで影響してしまいますから」(球界関係者)

 実際、この日の試合中、ピンチの際に菅野のもとへ駆け寄ったナインはバッテリーの大城を除いては遊撃を守っていた若林のみ。「声掛け係」の主将・坂本はベンチスタートとなっていたため、後ろを守る若手野手陣との間に見えない壁ができていた可能性も否定できない。

 昨季の雪辱を期すため、並々ならぬ思いで今季に臨んでいる大黒柱。責任感は人一倍な男なだけに、この日の登板では歯がゆい状態が続いてしまったが、エースとしての堂々とした立ち振る舞いも今一度求められそうだ。