【インハイアウトロー 加藤伸一】2位・ソフトバンクが首位・楽天との直接対決に連敗して、今季ワーストの4連敗。4ゲーム差をつけられた。開幕8連勝でスタートダッシュを決めていただけに「どうしたんだ?」と心配する向きもあるだろう。

 客観的に見ていて、ここへ来ての失速に致命的な原因があるとは思えない。チーム打率、防御率とも悪くないし、思うように白星が増えないのは、歯車がうまくかみ合っていないだけと見ていい。

 心配なのは、首脳陣が首位とのゲーム差や貯金の数を気にしているのではないかという点だ。ソフトバンクは投打ともに世代交代の過渡期を迎えている。大事なのは次代を担う若手の育成であり、常勝軍団の再建だ。あからさまに優勝を狙いにきている楽天とはチーム状況も違う。勝利を目指して戦うのは大前提だが、優先すべきは目先の1勝ではないはずだ。

 野手では1番に定着した三森に野村勇、柳町、3年ほど不振で苦しんできた上林が欠かせない戦力となりつつある。いっそのこと、もっと若手を二軍から引き上げてきてもいいと思う。

 適度に〝息抜き〟できる二軍より、出番がなくても一軍にいたほうが選手にはプレッシャーになる。当然のことながら首脳陣や先輩選手、ファンの目も厳しく、一軍で居場所を確保するため、率先して練習するようになるものだ。

 第2捕手の育成も急務だろう。試合後の監督談話などで甲斐への苦言をよく目にするが、攻守で堂々めぐりになっている印象だ。他球団と同様に複数捕手でシーズンを乗り切る形にするのもありだと思う。(本紙評論家)