福島県のいわき平競輪のGⅠ「第76回日本選手権競輪」は6日、4日目を開催した。メインの11R「ゴールデンレーサー賞」を走った佐藤慎太郎(45=福島)は「子どものころからの憧れの人だった」と公言する清水裕友(27=山口)と初タッグ。それも佐藤の地元で連係が実現するドラマチックなと展開となった。

 レースは清水が先行するも別線にまくられて共倒れに終わったが、ファンは惜しみない声援を送り〝競輪〟に酔いしれた。

「どこへ行っても地元みたいな声援があるんだけど、今回はさらに熱を帯びていたのを肌で感じたよ。(昔の)裕友のような子どもの声とかがあると、競輪選手って素晴らしい職業だと感じるよね」

 幾度の修羅場をくぐり普段から冷静沈着な佐藤とはいえ、想像を超える地元ファンの熱気に興奮を隠せない様子だった。

 7日の準決10Rはあの平原康多(39=埼玉)の番手を回る。4月平塚記念の準決、決勝で魅せた魂の連係が記憶に新しく「ミスター競輪! 申し分ないパートナー」と全幅の信頼を置いている。平原も以心伝心で佐藤の仕事をアテにし、おのずと仕掛けも早くなる。

「地元のGⅠであと何年、元気な姿を見せられるか分からない。だから走れる喜びを噛みしめて戦うよ」

 ややセンチメンタルなコメントを発したが、実はまだまだ元気いっぱいだ。先日、引退を発表した萩原操(58=三重)を例に、現役へのこだわりを尋ねると「58歳? 今回、成田(和也・43=福島)ともその話をして、オレらには『通過点にすぎない!』てことになった(笑い)。頑張りますよ」

 ファンたちは千両役者〝慎太郎〟の一挙手一投足にくぎ付け。ボルテージは日に日に高まるばかりだ。