中日・大野雄大投手(33)が6日の阪神戦(バンテリン)で延長10回1安打完封で2勝目を挙げた。9回まで走者を一人も許さない完全投球を続けたが、0―0のまま延長へ。10回に佐藤輝に初安打を許したものの、チームはその裏、石川昂の中前タイムリーでサヨナラ勝ちした。この日の大野雄のピッチングを、ネット裏の評論家はどうみたか――。


【新IDアナライザー 伊勢孝夫】中日・大野雄大は残念だった。あそこまで行ったら完全試合をやらせてやりたかったね。0―0のまま、延長10回も続投したのは当然だと思うし、立浪監督も大野雄と心中するつもりだったはずだ。

 ロッテの佐々木朗が完全試合を続けながら8回でマウンドを降りたことが「英断だ」とか言われているようだけど、本人が納得して降りたのかどうか、実際のところは分からない。大記録だからこそ「挑戦したい」という選手の気持ちは尊重しなければならないし、こうした価値観は、今も昔も変わらないものだと思う。私が知る限り、例外はアイツだけ。ノーヒットが続いているのに「もういいです」と降板を直訴した投手は、今の楽天の監督で、ヤクルト時代の石井一久(1997年9月2日の横浜戦)しかいなかった。あの時は「こんな選手がいるのか!」と驚いたものだ。

 この日の大野雄は両サイドのコントロールが抜群で、とくに外角のツーシームの制球がよかった。だが、10回に佐藤輝に打たれたボールだけは逆球だった。捕手は外に構えていたのに、真ん中高め内寄りへ。その直前の近本、中野に対してもヒヤッとするボールがあったし、限界が近づいていたのだろう。やはり完全試合は9回で決めるしかなかった。

 ただ、これだけのピッチングができることを証明した。ボールのキレも相当だったし、そりゃあ相手からしてみれば、攻略することは難しいですよ。今季は開幕からあまり調子が上がってないようだったけれども、まだまだ中日のエースとしてやってくれそうだと感じた。(本紙評論家)