フィギュアスケート男子で2度の金メダルに輝いた羽生結弦(27=ANA)の絶大な人気が改めて浮き彫りとなった。羽生の衣装や写真などが展示された「羽生結弦展2022」(東京・日本橋高島屋)は9日、大盛況のうちに閉幕。開催期間中には日本を代表する大物ミュージシャンが極秘来場を試みるも、ファンの多さに圧倒されて断念する事態も発生した。北京五輪後も全く衰えない〝羽生狂騒曲〟の舞台裏を徹底追跡――。


 先月20日にスタートした日本橋高島屋の「羽生結弦展」では過去の衣装やメダル、写真パネルなどが展示。グッズ売り場ではクリアファイルやキーホルダーなど羽生関連の商品が並び、飛ぶように売れた。来場者は20日間で約6万人。新型コロナウイルス感染防止の目的でオンライン事前予約制(入場無料)となったが、日本橋高島屋によると「前回の2018年より入場者は少ないですが、グッズの売り上げは上回っていた」(広報担当)と改めて不動の人気ぶりを見せつけた。

 その熱狂的なファンに交じって人知れず潜入を試みていたのが、ミュージシャンの龍玄とし(Toshl)だった。今月2日、龍玄は自身のブログに「ついに!羽生結弦展2022極秘潜入チャレンジ!?」と題した記事を投稿し、会場に潜入を試みる動画を添付。その様子を3日間にわたって自らリポートし、最終的に未遂に終わったことを明かしていた。

 それを知った羽生ファンは「としさん、来ていたの!?」「すごくうれしい!」「入れなかったのは残念」などと大反響。龍玄サイドに確認すると、なんと招待ではなく自力で予約し、完全プライベートで訪れたという。さらに潜入未遂に終わった経緯を本人自ら明かしてくれた。

「1階の入り口にある羽生さんの大きなポスターの近くまで行きましたが、その周辺でポスターを撮影したり、自撮りしたりしていらっしゃるファンの方が大勢いらっしゃいました。展示会会場に潜入すると気づかれてしまう可能性が大きく、そうなった場合、ファンの皆さんの雰囲気を壊し、高島屋様にもご迷惑がかかると思って断念しました」

 わざわざ予約して来場したにもかかわらず、混乱のリスクを回避。まさかのUターンの裏には〝ユヅル愛〟があったというわけだ。その後にスタッフが会場に入ってグッズを購入したが、その予約も龍玄自身が行ったという。

 羽生にとって龍玄は欠かせない存在だ。2019年5月のアイスショーでは龍玄の熱唱に合わせてスケーティング。この夢のコラボをきっかけに2人は急接近し、昨年夏も龍玄の代表曲「マスカレイド」を演じるなど、いまや相思相愛だ。ファンも関係性を熟知しているだけに、今回の潜入チャレンジにはネット上で「羽生くん、愛されている」「いつか2人が再会できますように」と温かいコメントがあふれた。

 龍玄は「参加はあきらめていません。他の場所で可能性があればぜひ再度チャレンジしたい」と宣言し、今後に開催予定の名古屋や大阪などの会場に出現することもありそう。いずれにせよ、今回の一件は絶大な羽生人気の表れと言えそうだ。