韓国の尹錫悦次期大統領の就任式が10日、行われ、そこに鳩山由紀夫元首相が出席。日本は岸田文雄首相の出席を見送り、林芳正外相を派遣。岸田政権としては冷え込んだ日韓関係の修復を掲げる尹氏を一定程度評価しており、林外相が特使として足を運ぶわけだが、なぜそこに鳩山氏が…。

 尹氏は9日、訪韓中の鳩山氏とソウルで会談し、日韓の友好関係を醸成していく考えで一致した。

 鳩山氏は2015年、併合時代の独立運動家を収容したというソウルの西大門刑務所跡地(現・西大門歴史資料館)で土下座し、日本の朝鮮統治について謝罪。19年には、ソウルの大学での講演で「日本は『もう謝らなくていい』と韓国が言ってくれるまで、何度も謝罪を繰り返すべきだ」と発言している。

 韓国事情に詳しい文筆人の但馬オサム氏は「今回の鳩山氏の出席について、嫌な予感しかしません。さらに言えば日中関係、とりわけ尖閣問題に関しても中国寄りの発言が目立ちます。もちろん、彼は政界を引退しており、現政権とは直接の関係のない存在ですが、やはり“元首相”という肩書は対外的には重く、それだけに中韓にとっては都合のいい発言をしてくれる使い勝手のいい存在と言えます」と指摘する。

 韓国側はおそらく、鳩山氏の訪韓を利用すると思われる。

「鳩山氏から自分たちに都合のいい言質を取り、外交的ポイントにするぐらいは計算に入れているはずです。経済破綻間近といわれる韓国だけに、日本の各種経済支援を引き出したいところでしょう。元慰安婦の李容洙さんにハグさせるくらいのトラップを仕掛けてくる可能性は十分にあります」と但馬氏。

 政界を引退している鳩山氏だが、“友愛外交”をするたびに、ハレーションを起こしてきた。

 但馬氏は「本来、鳩山氏のような人物を半公人として海外に出すべきではありません。『この男は現政権とも日本政府ともまったく関係はなく、彼の発言はすべて無視してください』と公式のお触れを出すのにふさわしい存在です」と話している。