ボクシングのOPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王座決定戦が15日、墨田区総合体育館で行われ、同級6位の力石政法(27=緑)が同3位の渡辺卓也(33=DANGAN AOKI)を3―0の判定で下して新王者となった。

 前半は距離を近めに取って倒しにいったが「思ったよりタフで、スキがなかった」と戦い方を変更。倒せなかった際は後半からアウトボクシングに徹する作戦通りに試合を運び、3者ともフルマークで「完全試合ができて、ベルトよりうれしい」と喜んだ。

 初タイトルを手にした力石はリング上で「チョー気持ちいい!」と絶叫。ベルトを手に持って「腰に巻くのは世界のベルトだけ。今日は巻きません」と言い切ると、会場から拍手喝采を浴びた。次の目標は「指名試合で完勝すること」というが、もう一つ大きな目標がある。

 力石はファンの前で「僕の夢は兄弟で同時に世界チャンピオンになること。兄はたぶん2回くらい勝ったら世界にいけると思うんですけど、僕の階級は層がめっちゃ厚いので、どんどん強くなって経験を積んでやらないとチャンピオンになれない。頑張って励みます」と宣言した。

 兄とは前WBC世界ライトフライ級王者の矢吹正道(29=緑)。3月に同級現王者の寺地拳四朗(BMB)に敗れて一時は引退も考えたが、現役続行を決めたことで力石は「僕の夢がまだ途切れずに、夢に向かってできる喜びがある」と喜んだ。

 この日、会場で試合を見守った矢吹は「弟がチャンピオンになったのはすごい」と感慨深げ。兄弟の夢については「同時期に王者になる可能性は低いと思いますけど、かなわないと思ったことが今までかなってきた。やっていればかなう可能性もある」と話した。

 矢吹と力石――。2人のリングネームについて「本名の佐藤じゃ面白くない。好きだった(ボクシング漫画の)『あしたのジョー』の登場人物から探していて、最初はウルフとかも考えていたんですけど主人公がいいと思った」と振り返った矢吹。当時の所属ジムの会長・薬師寺保栄氏が「兄貴が矢吹なら弟は力石だ」と命名し、現在に至る。

 果たして〝あしたのジョー兄弟〟がダブル世界王者になる日はくるか。