楽天の涌井秀章投手(35)が右手中指を骨折していることが判明。長期離脱を余儀なくされることが明らかになった。

 来月36歳になる右腕は、先発した18日のロッテ戦(ZOZOマリン)の4回、先頭の中村奨の投ゴロを右手中指に受け、途中降板となっていた。チームは19日に出場選手登録を抹消。今後は患部の回復に努めることになる。

 涌井は今季、シーズン開幕こそ出遅れたものの、4月1日に一軍昇格。新型コロナ陽性判定を受け登録抹消された則本の代役として先発ローテーションに入ると登板6試合で3勝(1敗)を挙げる働きを見せていた。そんなベテランの離脱は大きな戦力ダウンと思われがちだが長いシーズンの戦いを考慮すればそれほど落胆する必要はない。

 そもそも今季の涌井は開幕時から「先発6番手枠」を争う一人。先発ローテーション入りも確約されていなかった。首脳陣も年齢面を配慮したうえで年間を通しての活躍より「他の先発投手陣に疲れが出るシーズン中盤以降に出てきてくれれば」という思いもあった。

 楽天はここ数年、シーズン序盤に上位争いをするも、ペナント争いがシ烈になる終盤に失速。結果的にリーグ優勝を逃す悔しい戦いが続いている。そんな流れを断つべく石井監督は今春キャンプから戦力の底上げを図り、主力投手や野手が離脱しても控え選手が穴埋めできるチーム作りに励んできた。涌井にはむしろ、今は休養してもらい、優勝が絡む終盤戦での活躍を期待したいところなのだ。

 14日のブセニッツ(右足甲骨折)に次ぐベテラン右腕の負傷離脱だが、危機管理への意識は例年以上に高い楽天。一時期の勢いを失いつつあるとはいえ動揺はない。